天然ガス輸出が増加
一方で、アメリカン大学のウィリアム・ローレンス政治科学教授は、「今はアルジェリアにとってはチャンス」と指摘する。ロシアとの関係を維持しつつ、エネルギー供給などで「欧州や西側諸国に探りを入れる」ことができるからだ。
欧州は、侵攻によるエネルギー価格の上昇、ロシアからの天然ガスの供給減によって、天然ガスなどの確保に奔走している。
ミリンケン、カフィエロ両氏は、「ウクライナ戦争はある面、アルジェリアの国益に貢献している」と指摘する。侵攻によって、「アルジェリアの西側での戦略的重要性が増した」からだ。それは目に見える形で出始めている。
アルジェリアのイタリアへの天然ガス輸出は今年、20%増加。先月に入ってイタリアのエネルギー大手ENIは、2024年までに輸入を倍増させる計画を表明し、フランスへの輸出を50%増やすことも可能だという。
さらに、東欧のスロベニアもアルジェリアの天然ガスに目を向けている。先月中旬、アルジェリアは、来年1月から3年間、スロベニアのガス需要の3分の1を供給することで合意したばかりだ。
また両氏は、ロシアのプーチン大統領による「核の恫喝(どうかつ)」もアルジェリアの国民感情に影響を及ぼしている可能性を指摘する。アルジェリアでは1960年、66年に旧宗主国フランスが核実験を行い、国内が汚染された記憶があり、核に対する反発が強いからだという。



