テロを容認しない「輿論」を起こせない首相、細野氏が産経で代弁

壮大な「盲点」生じる

この「枠組み」によって壮大な「盲点」が生じている。それを自民党の細野豪志衆院議員が産経ネット版(8日付)で次のように語っていた。

「安倍晋三元首相の銃撃事件はまぎれもないテロだ。参院選の街頭演説で政治家が撃たれ、選挙という民主主義のプロセスが破壊された。にもかかわらず、加害者の恨みを社会や政治が晴らしているような風潮には懸念を持つ。私は旧統一教会と関係はないが、テロリストの思惑を端緒に立法を行うことは、正しいのか。加害者を『成功したテロリスト』にしてはならない」

救済新法についての話である。細野氏は「メディアはもっと危機感を持ち、暴力的な手段は許さないと主張すべき局面だと思う。SNS(交流サイト)でキーワード検索すると加害者について『英雄』『救世主』という言葉が出てくる。凶弾に倒れた安倍氏が旧統一教会と関係があったという情報をもとに半ば加害者のように言われ、加害者が半ば被害者のように言われる状況は倒錯だ」と、世論の盲点を浮かび上がらせている。

産経の桑原聡・文化部記者は25日付「モンテーニュとの対話」(141回)で「被害者救済新法に投じた一石」と題し、細野氏の次の主張を再掲している。「熟慮を要するのは、テロ行為(テロリストの思惑)を端緒として旧統一教会に関する立法を行うことが国家として正しいかどうかの判断だ」

これを桑原氏は「ちょうど90年前、海軍青年将校らが犬養毅首相を殺害したクーデター未遂事件『五・一五事件』が起きた。この事件が議会制民主主義を崩壊させる端緒となったことは、多くの国民が知っているところだろう。今回の新法は、被害者救済という、誰も文句のつけられない大義名分はあるものの、だからといって…。まずは現行法で対処すべきではなかったか、という問いかけである」と解説している。