米中両大国の大動乱ぶりを論じ日本経済の行く末を案じる東洋経済

中国の習近平国家主席(UPI)
中国の習近平国家主席(UPI)

南北戦争以来の分断

2022年は2月下旬に勃発したロシアによるウクライナの武力侵攻という衝撃的な出来事から始まった。戦いは今なお続き、その余波が世界中に及ぶ。わが国に関していえば、原油や輸入食糧価格の高騰という形で日常生活に影響が及んでいる。今やロシア・ウクライナ戦争は実質的に米国を中心とする西側諸国とロシアの戦いという構図で進められているが、ロシアを圧迫する要となる米国の政治・経済が盤石ではない。

そうした中で週刊東洋経済(10月29日号)が米国と中国に焦点を当てて特集を組んだ。テーマは「米中大動乱~爆発寸前!両大国発の経済危機~」。ここでは11月8日に中間選挙を控えた米国の政治動向を内戦前夜と位置付け、保守・リベラルの溝の広がりを分析、返す刀で3期目の独裁体制下に入った習近平・中国の問題点を列挙している。

もっとも米国の民主・共和党の軋轢(あつれき)が広がるのは中間選挙を目の前にして当然といえば当然のこと。同誌は、「今は一事が万事で何についても両者(民主党と共和党)の現状認識はかみ合わない。彼らが見ている米国はそれぞれに違って、パラレルワールドになっている。今の米国が南北戦争以来の分断状況であるのは間違いない」(渡辺靖・慶大教授)と綴(つづ)り、南北戦争を引き合いに出して分断の深刻さ、混乱ぶりを強調している。だが、自由と民主主義を国是とする限り、異なる意見や考え方が政治に反映するのは当然の成り行きである。