
「現実」に対処し得ず
経済産業省が原子力規制委員会の会合で、原則40年、最長60年と規定する原発の運転期間の延長に必要な法整備を検討する方針を表明。規制委もこれを容認し、延長した場合の安全規制を議論することを決めた。
これに対し、左派系紙は社説で「安全の骨抜き許されぬ」(7日付朝日)、「なし崩しの変更は危うい」(13日付毎日)と猛批判。特に朝日は、経産省と規制委の運転延長への動きを「利用論」に矮小(わいしょう)化し、その背景にある電力需給の逼迫(ひっぱく)や温暖化対策強化の観点を見ようとしない。安全性の高い新型炉や次世代炉の開発など新しい知見を生かした取り組みにも同様である。相変わらず原発反対論から抜け出せず、現実問題に対処し得ないでいる。
保守系紙では10日付社説で日経が、経産省の運転延長への法改正への動きを「現行規定には明確な科学的根拠がなく、見直しは妥当だ」と支持。
また、三菱重工業が関西電力などと安全性を高めた新型炉を共同開発することから、「新型炉や次世代炉の安全性確保に万全を期し、使用期間の延長に対応するには審査基準の改定も課題となろう」として、規制委に対しメーカーや電力会社の最新の知見を基に、早期に検討を始めるべきだとした。同感である。
本紙は13日付社説で、「現状のままであれば原発はいずれなくなってしまう。エネルギー安全保障上、由々しき事態と言わざるを得ない」として運転期間延長に向けた法整備を急がなければならないと強調する。
運転延長は安全性を無視するわけではない。米英仏では運転期間に上限がなく、日本と同様に規制当局が定期的に安全性を確認しており、米国では80年までの認可を受けた原発もある。「原子炉などを除く多くの部品は交換可能であり、高経年化に応じた技術基準を満たせば安全性を確保することは可能だ」(本紙)というわけである。



