「マインドコントロール」論で信仰否定の反統一教会コメンテーター

宗教への無理解露呈

この俗語は教団批判の文脈の中でメディアにしばしば登場する。しかし、海外では、概念が曖昧なこの言葉を使い信仰を論じる宗教・心理学などの専門家はほとんどいない。無神論的な立場からのプロパガンダ用語とも言えるが、この言葉で人の信仰を否定することは信者の主体性、自由意思の否定である。放送プロデューサーの肩書を持ちながら、今ではお笑いタレントのような発言が多いコメンテーターの発言とはいえ、宗教・信仰への無理解も度が過ぎよう。

さすがにこの時は、杉村太蔵(元衆議院議員のタレント)が「本気で世界平和になると思って、献金活動をし、それが自己実現・幸せにつながるという人たちに対して『人生無駄にしているよ』と言うのは、ちょっと」「他人がそんなの宗教じゃないよと言えるのか。個人の尊厳があるから」と語ってバランスを取った。

一方、教団批判番組に頻繁に登場する鈴木エイト(ジャーナリスト)も「マインドコントロールされた人たちをどう処遇するかという話だ」と述べた。しかし、これもその概念が曖昧である以上、荒唐無稽の論。信者はすべてマインドコントロールされた被害者とみるのか、一部にそのような信者がいるとみるのか。前者ならデーブと同じで教団存在の否定であり、後者ならそれを誰がどうやって判断するのか。いずれにしても個人の内心への介入である。この言動も宗教オンチの典型である。

さらに、鈴木の人権感覚の歪(ゆが)みを露呈させた場面があった。前出の鈴木発言について、MCの太田光(爆笑問題)が「今までも拉致して閉じ込めたりして、いろいろ問題が起きてきて、答えはまだ見つかっていない」と指摘した。つまり、マインドコントロールされたと思い込んだ親族らが信者を拉致監禁した上、強制棄教させることだ。これに対して、鈴木は「拉致監禁には保護して説得するという一定の合理性がある」と語った。