
アラビア語で偽情報
ロシアはウクライナ侵攻をめぐって、メディアやソーシャルメディアで偽情報を流して欧州の分断を謀ってきたが、プロパガンダは中東にまで拡大、アラビア語での偽情報が拡散されているという。
カタールのメディア、アルジャジーラなどに執筆しているジャーナリストのトマス・フォーク氏は、英ニュースサイト、ニュー・アラブで、ロシア系メディア、RTやスプートニクが、ウクライナ侵攻をめぐってアラビア語での偽情報を流し、効果を上げていると指摘した。
同氏によると、ロシアのプロパガンダ機関として知られるRTなどは、「今年の初めまで欧州連合(EU)内での世論形成」に関与してきたが、「ウクライナ侵攻に関する『組織的情報操作と偽情報』を理由に活動が禁止されている」。
フォーク氏は、欧米でロシアによる情報操作への認識が広がる一方で、「親露メディアによるアラビア語偽ニュース報道が15年前から中東でよく見られるようになっているにもかかわらず、ウクライナでのロシアの戦争に対する一般の認識を歪曲(わいきょく)させることを狙ったアラビア語による危険なプロパガンダは、これまで注目されてこなかった」と指摘した。
ウクライナ侵攻をめぐっては、ロシア系メディアからさまざまな偽情報が出ている。ウクライナのゼレンスキー大統領がポーランドに逃亡したとか、食糧危機は米国とEUが引き起こしたなどだ。ゼレンスキー氏の執務室の机の上に「白い粉」が置かれているフェイク動画もソーシャルメディアで流れた。「ウクライナ政府の腐敗」を演出したかったのだろう。
ロシアは2007年に「RTアラビック」を立ち上げ、中東向けのアラビア語報道を開始した。だが、フォーク氏は、「客観的なデータ」がなく、どの程度の影響力があるかを知ることは難しいと指摘する。



