「占い・祈とう」が主
では、17年度以降の千数百件に及ぶ相談の中身は何なのか。各紙いずれもこのことに触れない。だが、消費者庁のホームページには、検討会に提出された資料一覧があり、その中の「霊感商法(開運商法)に関する消費生活相談について」がその中身を明らかにしている。
それによると、21年度の相談内容は①占い・祈とうサービス(インターネット通信販売等)54・4%②占い・祈とうサービス(その他=訪問販売等)15・2%③財布類2・9%―だ。17年度以降では実態が不明な「他のデジタルコンテンツ」もあるが、ほぼ同じ内容だ。教団が「占い・祈とう」のネット販売をしている話は聞かないから、いずれも無関係なのだろう。
消費者庁のデータでは消費者相談は毎年90万件以上あるので、霊感商法に関するものは概(おおむ)ね0・4%に該当する。その「主な商品・役務等」の中に教団に関するものは1例もない。巨悪は明らかに他にいる。これが全く問題にされないのは不思議だ。
ちなみに全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)のホームページに霊感商法にまつわる「裁判傍聴情報」「刑事事件情報」「民事裁判情報」の項があるが、掲載されている刑事事件は11年以降、皆無。民事裁判は17年以降、3件あるのみだ。メディアが大騒ぎしている教団の霊感商法の実態がこれである。まるで令和の怪奇談。これこそニュースだが、誰もこの事実を報じない。
検討会について朝日は30日付3面トップに「霊感商法対策 焦点は献金」との見出しを掲げ、前記の毎日は「『献金問題は消費者契約法の対象外だ』と戸惑う職員もいる」と書き、産経は「今後は信者からの寄付問題」についても議論するとしている。霊感商法問題はいつの間にか「献金」問題にすり替わっている。こうなれば、消費者庁の権限から逸脱している。



