拉致監禁による強制改宗を「説得」と詭弁を弄する紀藤氏の人権感覚

4300人超が被害 マスコミが触れたくない人権侵害

一方、同じ信仰をめぐる家庭問題でも、マスコミが触れたがらない深刻な人権侵害がある。教団信者を拉致監禁して行う強制改宗だ。宗教2世問題とは逆に、親の意に反して教団会員になった子供の信仰を棄てさせようとするケースだ。教団によると、これまでに被害に遭った信者は4300人以上に達する。中には、監禁中のレイプ事件、精神病院への強制入院などの悲劇も起きているというが、密室で行われるだけになかなか表に出てこなかった。

親子の間で冷静な話し合いが行われるなら家庭問題の範疇(はんちゅう)だろうが、たとえ親や親族が実行したとしても、成人を長期間、密室に閉じ込めて改宗・棄教を迫るのは明かに人権侵害である。当然、刑事事件になってしかるべきなのだが、警察は動かず検察も起訴してこなかった。

その代表例が現在、「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」代表を務める後藤徹に対する12年5カ月に及んだ拉致監禁。刑事告訴では不起訴になったが、関わった親族や“脱会屋”とキリスト教牧師を相手に起こした民事訴訟は最高裁まで争われた結果、後藤が勝訴。強制改宗の違法性が認められて、損害賠償として親族と脱会屋・牧師に対する総額2200万円の支払い命令が確定した(2015年)。

後藤裁判に、わずかに触れたのが「情報ライブミヤネ屋」(日本テレビ、8月12日放送)だ。後藤を招いて直接話を聞くべきなのだが、そんなことはしない。一方、出演した全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹は何と言ったか。「家族や親族が集まって12年5カ月説得を続けた。一時期やめるやめないの議論があったが、最終的に(教会に)戻った」。ジャーナリストの鈴木エイトに至っては「原告(後藤)はほぼひきこもり状態」だったという。