
各紙先行き楽観せず
16日付日経「プラス基調に内需の後押しを」、17日付読売「リスクを点検し内需支えたい」、同産経「物価高への警戒を怠るな」、18日付本紙「コロナ前回復も楽観できず」、19日付毎日「格差是正に力入れる時だ」――。
2022年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が、実質で前期比0・5%増、年率では2・2%増と3期連続のプラス成長になったことに対する各紙社説の見出しである。朝日、東京はなし。
列挙した通り、各紙の論調は思いのほか慎重で、先行きにも楽観せず、警戒を説くものとなった。
日経は「3四半期連続のプラス成長とはいえ、力強さには欠ける」とし、先行きにも「不透明感も強い」と懸念を表明した。インフレ退治を優先する米欧の大幅な金利引き上げ、ゼロコロナ政策などによる中国経済の減速で、世界景気の後退懸念が増す。値上げで国内の消費者心理も冷えかねない、というわけである。
確かにその通りで、さらに、同紙は「GDPに海外との所得の出入りを加味した実質国民総所得(GNI)は4~6月期もマイナスだ」とし、ロシアのウクライナ侵攻などでエネルギーや穀物の価格が上がり、国内の所得が海外に流出した、とした。
産経も同様に、資源高と円安の進行に伴い、国内所得の海外流出が加速しており、「これも景気回復の足かせとなりかねない」と懸念する。大幅な貿易赤字の長期化を招いており日本経済の将来にも由々しき問題であり、妥当な指摘である。
尤(もっと)も、米国の利上げや日銀の大規模緩和継続の決定などで円安が大幅に進行した際、日経にはこうした観点から懸念の表明がほしかったものである。



