内需回復に賃上げを
本論に話を戻す。では、内需をどう後押しするか。日経は、企業の設備投資がカギを握るとして、銀行の調査でもデジタル化や脱炭素などで戦略的に投資の動きが起きており、「課題を好機に変える発想で設備投資に取り組んでほしい」と訴えた。
これに対して、読売は個人消費と設備投資という内需の2本柱が持ち直したことは「歓迎できる」とし、その流れを維持するため、政府は若者への3回目のワクチン接種促進などの感染抑止策に一段と力を入れ、経済活動との両立を図ってもらいたい、と強調した。「感染対策に手抜かりがあってはいけない」とした毎日も同様である。
この点、本紙は極端に重症者が増えない限り、政府には引き続き行動制限などの規制策は取らず、新型コロナの感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザ並みの「5類」に移行するよう検討を進めてほしいとした。
産経は、「日本経済を着実に回復させるには、やはり継続的な賃上げを通じて個人消費を活性化するのが本筋である」として、政府に企業による積極的な賃上げを促し、その環境整備に全力を挙げてほしいとした。日経も、内需の柱である個人消費の勢いを保つには積極的な賃上げが不可欠だとした。同感である。
家計への支援不可欠
ただ、読売などが指摘するように、「7月以降の景気には多くの懸念材料が浮上している」のも事実である。相次ぐ食品や燃料の著しい値上げである。
政府は物価高対策として輸入小麦の売り渡し価格を10月以降据え置く方針で、ガソリン価格を下げる補助金も期限が延長となる見通しだが、効果や財源に不透明な面もある。
読売は、生活必需品の値上がりやコロナ禍の打撃を受けやすい低所得者を重点的に支援すべきだとし、毎日も先述の見出しの通り、左派系紙らしく格差是正に力点を置いて、「低所得者に重点を置いた対策に力を注ぐ時だ」とした。
本紙は物価高の影響は国民に広く及んでいるだけに、家計に対し「インフレ手当」などの検討を求めた。いずれにしても家計に直接的な支援は必要だろう。
(床井明男)



