終戦記念日、憲法前文が時代に合わずと日経・読売、旧態依然の東京

全国戦没者追悼式で参列者と共に黙とうされる天皇、皇后両陛下 =15日午後、東京都千代田区の日本武道館
全国戦没者追悼式で参列者と共に黙とうされる天皇、皇后両陛下 =15日午後、東京都千代田区の日本武道館

安保論議大きく変化

日本において8月15日は特別な日だ。

主要各紙も例外なく、終戦記念日をテーマに社説を掲載した。

ただ、ロシア軍のウクライナ侵略が、これまでの安全保障論議の風向きを大きく変えている。

同日の日経社説「『戦後』を終わらせてはならない」で、「日本にとっては『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』という平和憲法の前提をゆるがす状況」との認識の下「77年間、戦争と縁遠く防衛費を抑えてきた日本が防衛力の抜本強化に踏み出すのはやむをえない」と論じた。

読売社説も日本が戦争をしなければ世界の平和は保たれるはずだという前提に立った憲法前文が「現実からかけ離れていることが、ロシアの蛮行によって明確に示された」として「脅威を抑える防衛力が不可欠だ」と述べた。

まともな論説だと思う。

一方で東京社説は意固地なまでに旧態依然の論調を変えていない。

同日社説「終戦の日に考える 国民を死なせないよう」で、日本は戦後、一度も戦争をしていないものの、ここ何年かの間に、急に怪しくなっていると指摘した上で「大きかったのは集団的自衛権の行使容認と安保法制の成立。他国の戦争に巻き込まれる蓋然(がいぜん)性が高くなった。岸田政権も敵基地攻撃能力の保持を狙っており、『専守防衛』というわが国平和主義の根幹も骨抜きにされかけています」と警戒心を煽(あお)る。