サハリン2でロシアリスク鮮明に、一方でチャイナリスク論ぜぬ各紙

腰が引けた日経社説

プーチン露大統領が、極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で日本企業が持つ権益の接収が可能となる大統領令に署名した。これに抗議の社説を張ったのは、読売と毎日、それに日経だ。

読売は7日付社説「サハリン2 『接収』の脅しに強く抗議する」で、「ロシアは、ウクライナ侵略で対露制裁を科す国を『非友好国』に指定し、資源輸出を威嚇や報復の手段に使っている」が「対露制裁を続けているのは、ウクライナ侵略という国際法違反の蛮行が理由だ。全ての非はロシアにある」とロシアの的外れな報復措置を批判した。

また同社説は「G7を中心に国際社会との連携を強め、エネルギーの安定確保の道を探らねばならない」として「原子力発電所の再稼働を進めることも不可欠」と断じた。

毎日は8日付社説「露のサハリン2『接収』 LNG安定調達に万全を」で、「西側諸国の分断」を目論(もくろ)む「ロシアの揺さぶりに動じてはならない」と警鐘を鳴らした。

この2社に対し、弱腰なのが日経だ。日経は5日付社説「サハリン2移管は容認できぬ」で、「代替が簡単でない以上、まずサハリン2の供給継続を探ることはやむを得まい」とサハリン2に権益を持つ財界に気を配った社論を展開。見出しこそ「容認できぬ」と勇ましいが、中身は強権を振るうロシアへのすり寄りを示唆。

また日経は「途絶への備えも重要だ」とし「安全審査に合格し再稼働したものの、今夏以降、テロ対策設備の工事期限に間に合わず運転が止まる原子力発電所が数基ある。この緊急避難的な運転を検討すること」を提言しているが、読売に比べると腰が引けた格好だ。