アジア安保会議、聞こえはいいが胡散臭い朝日社説の対話協調路線

日経は抑止力に力点

ただ12日付同紙社説「米中は不測の衝突回避へ対話を継続せよ」では、「中国とは対話だけでなく、一方的な現状変更につながりかねない軍事行動を思いとどまらせるための抑止力の向上が不可欠だ」とし、防衛力の抜本的強化を訴えた。

日経も二者択一ではない書き方だが、こちらの方は抑止力強化に力点が置かれている。

かつてナチス・ドイツに対し宥和(ゆうわ)的であったチェンバレン英首相がヒトラーの侵略意思を引き出していった歴史の教訓を考慮すると、朝日の対話主義より日経のリアリズムこそがわが国と地域の安全保障にとって欠かせない選択だ。

無論、はなから対話路線を否定するわけではない。時間稼ぎのための偽装対話ではなく、平和構築に向けた本当の対話を促すためにも、ハード面でやってくればやり返すパワーが不可欠だからだ。

岸田首相は同会議で、米豪中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国など40カ国以上の代表を前に、ロシアによるウクライナ侵略について、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と危機感を強調するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」を推進するためのルールに基づく国際秩序の維持などを柱とした行動計画「平和のための岸田ビジョン」を来春までに作る意向を表明した。

なお14日付本紙社説「アジア安保会議/中国の台湾侵攻に警戒強めよ」は、「中国による台湾侵攻の際には、安全保障関連法に基づいて集団的自衛権を行使し、自衛隊は米軍と共同作戦を遂行すべきだ。このための計画策定が急務である」と直截(ちょくせつ)に書いている。