少子化対策 物足りない保守陣営、「朝日」論に押されている

各紙提言 中身は薄い

今回、各紙社説を見ると、産経「国力低下を阻む道筋示せ」、毎日「政策の抜本的な見直しを」(いずれも4日付)、本紙「少子化対策の抜本的見直しを」(6日付)、朝日「かけ声倒れに終止符を」、読売「少子化対策の課題洗い直せ」(いずれも10日付)と、そろって威勢よく抜本的見直しを迫っている。

だが、中身は薄い。労働政策から脱しているものの、依然として経済政策にとどまっている。中でも朝日は「出産は個人の自由な選択」とか「価値観の押しつけがあってはならない」といった枕ことばを付けて論じているように相変わらず「家族政策」としての少子化対策に否定的だ。

毎日は「核家族化が進み、子育てで孤立しがちな専業主婦を支える手立ても充実させる必要がある」と、専業主婦支援を口にしたのは目新しい。これまで専業主婦を「性別役割分担」としてやり玉に挙げる傾向があったが、さすがに少子化で無視できなくなったのか。

保守紙は腰が引けている。本紙は「若い人たちに結婚の意義を啓発し生活への展望が開かれるような抜本的な支援策が必要だ」と結婚の意義を強調するが、読売は「折に触れて、子育ての楽しさや家族と過ごす喜びを伝えていくことが大切だ」と言うにとどまり、産経は「(未婚化・晩婚化の)背景には、日本社会を覆う将来の暮らしへの不安があることを忘れてはならない」と、あくまでも「暮らし」で論じるのみである。