
シベリア抑留特集も
日本人のシベリア抑留を描いた映画「ラーゲリより愛を込めて」の公開に合わせてニューズウィーク日本版(12月13日号)が特集を組んでいる。瀬々敬久監督の特別寄稿や主演の二宮和也さんとの対談、主人公・山本幡男の長男・山本顕一立教大名誉教授へのインタビュー、さらには3年間抑留されていた抑留体験の語り部・西倉勝氏の体験談と、ボリュームのある特集となっている。
筆者はソ連最後の年に中央アジアのカザフ共和国の首都アルマトイ(当時)の日本人墓地を訪ねたことがある。凍てついた異郷の土に眠る同胞は数字だけの墓碑の下に埋まっていた。事務所に番号と対照する名簿があったが、キリル文字で表記されていて、彼らの魂はさぞ居心地の悪い思いをしているのではないかと感じさせられた。
特集を通じて訴えるのは、ソ連の非道だけでなく、戦争自体の悲惨さであり、平和への希求である。ハバロフスク出身のタレント小原ブラス氏が「憎しみの連鎖を終わらせるには長い間戦争をしない、これしかない」と述べる。このシンプルな考え方が最も重要だ。日本は戦後77年間、戦争をしてこなかった。この状態を続けることができれば、これ以上のことはない。だが、それを壊そうとする勢力がいる以上、国をいかに守るかを明確にしておく必要もある。



