
反撃能力語る保守紙
ミサイル攻撃があった際、直ちに情報を国民に伝え、身の安全を守る。それがJアラートと呼ばれる全国瞬時警報システムである。ところが、お粗末なことに10月4日には北朝鮮のミサイルが日本列島を通過した後に発令された。今月3日には「飛翔体の消失」で通過予想の2分後の発令となり、「ちょっと恥ずかしい状況」(小野寺五典・自民党安全保障調査会長)となった。
これには左派紙もそろって批判している。朝日は「検証し改善点を探れ」(10月12日付社説)と言い、毎日は「信頼性高める改善が必要」(11月5日付)と唱え、「政府は、情報発信の『質』を高めなければならない」と注文を付けた。
それはそうだが、朝毎とも「改善」の後の話が全く出てこないから首をひねる。警報はそれ自体が目的ではない。災害では避難警報と呼ばれるように避難して安全を確保するためのものだ。Jアラートが文字通り瞬時に警報できても身を守る術(すべ)がなければ、いくら正確さを高めても意味がない。その肝心のところをまるで覆い隠すかのように朝毎の社説は一字も書いていない。
その点、保守紙は明快だ。産経はJアラートの是正のみならず、「退避施設(シェルター)不足も解消していない。警報で住民が避難しようと思ってもシェルターが足りないのは平和ボケした政府と自治体、国会の怠慢である」と断じている(10月5日付主張)。読売も「国民保護に不備は許されない」(同13日付社説)と国民保護という目的を明記し「住民の避難施設を確保し、実践的な避難訓練を重ねることも重要」と指摘している。
さらに両紙は「ミサイル攻撃を抑止するために、自衛隊が反撃能力を持つべきはもはや自明」(産経)「反撃能力を持つことが急務だ。政府がその意思を明確にし、着実に装備を整えていきたい」(読売)と、反撃能力保持でも足並みを揃(そろ)えた。国民の命を守ることを考えれば、当然の結論だろう。朝毎は少なくとも情報伝達後に何を為(な)すべきかを明示すべきだ。沈黙では無責任の誹(そし)りを免れない。



