
歯がゆい具体策なし
16日付産経「円安の加速/相場安定へG7の結束を」、19日付東京「円安と暮らし/物価高の放置許されぬ」、21日付読売「1ドル=150円台/過度に進む円安は座視できぬ」、22日付毎日「円安止まらず150円台/日本売りに危機感足りぬ」、23日付日経「円安と値上げを経済の好循環への転機に」――。
最近の円安に対する各紙の社説見出しである。本紙は日銀短観を扱った7日付社説で、円安是正措置の必要性を訴えたためか掲載がない。朝日も20日付で政府の物価高対策は扱ったが、円安そのものに関しては掲載なしである。
さて円安だが、さすがに1ドル=151円目前という32年ぶりの水準まで下落するに至り、日銀への批判を強めるところが出てきた。
例えば、東京。鈴木俊一財務相が過度な円安に対し「断固たる措置を取る」と繰り返し牽制(けんせい)する中、日銀の黒田東彦総裁は金融緩和を「当面続ける」を再三発言している。東京は「政府の姿勢を日銀が打ち消していては円安を抑制できるはずもない」と批判し、「黒田総裁には緩和一辺倒の姿勢を改めてほしい」と注文を付ける。「景気悪化を起こしかねない急激な金融引き締めは避けるべきだとしても、緩和続行発言を控えるだけでも円安の抑制効果があるはずだ」というわけである。
ただ、では具体的にどういう発言をすべきなのかという点については指摘がなく、歯がゆさが残る。
読売もこれまでは政府・日銀に円相場の動向を「注視せよ」にとどまっていたが、今回は「金融緩和の維持ばかりを強調する姿勢が、円安を助長していないか。日銀の金融政策が円安の一因になっている以上、情報発信のあり方を再考してもらいたい」と一歩踏み込んできた。
尤(もっと)も、ここでも東京同様、「情報発信のあり方の再考」が具体的にどういうことを示しているのか分らず、スッキリしない。



