1ドル=150円の円安に日銀の金融政策へ注文を強めた読売、東京

注文なしの毎日産経

毎日は、円安は世界的なドル高の影響だけでなく、国力の低下に伴う「日本売り」の様相も呈しているとして、危機感を持って政府や経済界は対応すべきだとした。米国以外の先進国や新興国の通貨と比べても「円の値下がりが目立つ」からである。

円安もあり、物価上昇率は31年ぶりの高水準になり、家計や企業経営を圧迫している。政府は物価高対策として新たに電気・ガス料金の価格抑制策も打ち出す方針だが、毎日は「小手先の対応では、日本経済の地盤沈下は止まらない。経済構造を根本から立て直すことが不可欠だ」と説く。

そのため、毎日は「企業経営者は脱炭素やデジタル化などで世界の潮流を先取りする事業を強化し、政府がそれを後押しする。国力の向上につなげる戦略が、今こそ求められる」と強調するのだが、長期的にはそうとも言えるが、今「圧迫されている家計や企業経営」にはどうするのか言及がない。現実への危機感が足りないのは同紙の方である。

毎日は日銀に対し「景気下支えのため金融緩和を堅持している」と述べるだけで、読売などのような注文もない。

日銀の金融政策に注文がないのは産経も同様である。円安の背景は日米金利差の拡大であり、この構図が変わらなければ円安基調は解消しにくい。円買い介入も効果は持続せず、単独介入を繰り返しても、「相場の反転は見込みにくい」(産経)だろう。

というわけで、日銀には期待せず「これだけで円相場が反転するなどとみることはできない」(同紙)ものの、見出しのように、G7(先進7カ国)に相場の安定を期すのである。

是正に音無しの日経

日経は、「短期的な痛み止めだけでは低下した日本の国力は上がらない。円安の利点にも着目し、経済の体質を根本的に強くする政策運営や経営改革を今こそ進めてほしい」として、相変わらず、円安是正には音無しである。

(床井明男)