
政治を離れ未来志向で
韓中関係が新しい転換点を迎えている。尹錫悦(ユンソンニョル)政権は韓米同盟をグローバル戦略同盟に強化するという意志を表明した。半面、中国には「相互尊重」を基盤に「建設的役割」を注文して、傾いた運動場を改善しようという意志を露(あら)わにした。
中国は韓米日協力の強化と米主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)および新しい半導体供給網構築の「チップ4」協議への韓国参加に憂慮を表し、韓国の対米傾斜に神経を尖(とが)らせている。
韓中関係は30年の歳月を経て、北核問題解決のような複合イシューとニンニク紛争や東北工程のような二国間問題を経験した。少なくとも高高度防衛ミサイル(THAAD)問題以前は本格的な対立はなかったと見られるが、実際は相当な不安要素を内包していた。
結局、北朝鮮の核・ミサイル能力の高度化が災いを呼んだ。THAAD配備をめぐる対立がまさにそれである。中国は北朝鮮の核保有は米国の対北圧迫政策のためだという認識の下に、韓国が北核に対応して配備したTHAADは結局、米国の中国圧迫に韓国が手を貸したものだとして受容不可という考えだ。中国の“戦略利益”に韓国の“生存利益”は無視されている。
結局、中国は今月8日に開かれた韓中外相会談で、▼THAAD追加配備不可▼米国のミサイル体制編入不可▼韓米日軍事同盟化を追求しないといういわゆる“3不”に加えて、THAADの運用範囲を制限する“1限”を提起し、退く意向がないことを明確にした。
当然、韓国は国家安保の主権は妥協の対象ではなく、北朝鮮の核保有に根本的原因があるという立場だ。北核の存在は長期的に中国にも不利だ。それ故、韓中は非核化に共感を持たなければならない。
このような両者関係の乱脈はすべての問題が政治的に解釈され、経済・外交・安保領域にそのまま投影されている。特に文化衝突と「抗米援朝」(韓国動乱)のような歴史認識の違いは相手に否定的な認識と対立を固定化させ、民間情緒の悪化につながるパターンが生じた。
米中の戦略対立のような巨視的観点よりは、二国間で問題の解決に誠意を見せなければならないのもこのためだ。臨機応変よりは未来志向的な協力への悩みが先行してこそ、総体的な復原力を回復させることができる。
中国はやはり重要な国家だ。多くの人が現政権の対中政策の迷走を心配している。過去30年を経ながら韓中両国は明らかな差を確認した。これを基盤に中国は恩恵授与者の立場で韓国を裁断しようとする試みから抜け出すべきであり、韓国政府は明確な論理で説得を通した新しい対中関係設定に乗り出すべきだ。
(康埈榮(カンジュンヨン)韓国外国語大教授、8月24日付)



