日本の製造業は「東の正横綱」だとし拠点の国内復帰訴えるエコノミスト

工場のイメージ(Photo by Ant Rozetsky on Unsplash)
工場のイメージ(Photo by Ant Rozetsky on Unsplash)

世界最強の「BtoB」

かつて「世界一のモノづくり大国」といわれた日本。「ジャパンアズナンバーワン」といわれ、その言葉に浮かれた時代もあったが、バブル経済が崩壊して30年余りが経過した今、「日本の国際競争力は地に落ちた」といわれる始末。この間、1人当たりの国内総生産(GDP=2017年の物価水準で見た購買力平価ベースで)はお隣の国・韓国にも抜かれ、先進国中28位と低迷を続ける。さらに新型コロナウイルスによる感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻で穀物・原油価格が上昇、物価上昇の直撃の余波も受けて国民の間には「この先、日本はどうなってしまうのか」といった不安ものぞかせる。

そうした中で週刊エコノミスト(7月26日号)は、モノづくりにおける日本の底力を特集した。「本当に強いBtoB機械 部品 素材」と題し、副題には「これが世界最強の製造業だ」との見出しを付ける。BtoBとは企業が企業に対して商品やサービスを行う企業間取引のこと。他方、BtoCは乗用車やテレビなど企業が一般消費者に対して行う取引・販売のこと。同誌はこのBtoB製造業が世界最強であり、日本の輸出を支えているというのである。

すなわち、日本の製造業の強さは「相手国ごとの貿易収支(財務省『国際収支状況』)で明らかだ。21年には台湾に対し2・7兆円、中国+香港に対し2・4兆円、韓国に対し1・7兆円の黒字」「欧州では…オランダと英国に対しそれぞれ1・9兆円と1・2兆円、ドイツに対しても1・0兆円の黒字」を計上していると指摘する。その上で、「『日本は稼げなくなった』なんてことはない」と断言。むしろ日本の製造業は「(世界の中で)東の正横綱」のような立場であると明言する。

具体的には、高機能素材、製造用機械、ハイテク部品などの分野で世界シェアを握る14の企業を紹介。例えば、炭素繊維複合材で圧倒的に世界首位を誇る東レ、自動車部品メーカーで熱交換器からエンジン制御システム、カーナビなど電装品まで展開し世界トップクラスのデンソー、リチウムイオン電池用のセパレーターフィルム製造装置で世界シェア70%を誇る日本製鋼所。