
「脅威」無視する朝日
公表された2022年版防衛白書に関し、各紙は社説を掲載した。ざっくり言うと日経・読売が直球ど真ん中、朝日くせ球、東京暴投の社論展開といったところか。
朝日のくせ球というのは、23日付社説「防衛白書 外交含む戦略につなげ」の中で、「力に頼るだけでは相互不信から軍拡競争につながったり、偶発的な衝突がエスカレートしたりする懸念もある」と一見、もっともらしいことを言いながら、論点ずらしの本音が垣間見える。
安全保障リスクの脅威度を測る上で、対象国の軍事力と意図の2点が問題となる。強大な軍事力があっても国家意思としてそれを行使する意図がなければ脅威とはならないし、意図はあっても軍事力そのものが貧弱であれば、これも脅威とはならないからだ。
その意味で粛々と軍事力強化を図り、南シナ海の軍事基地化も進めてきた中国や、核強国のロシアは、国際社会にとって安全保障の脅威となり得る国だ。何よりロシアはウクライナ侵略を続行中だし、中国は条件付きながら台湾侵攻の旗を降ろしてはいない。それを正面から受け止めたのが、防衛白書の内実だ。
その本論に向き合わず、他のボールを投げるというのは、ずるいやり方だ。



