
即効性ある策見えず
円安に歯止めがかからない。21日の海外市場で円相場が1ドル=136円台に突入。日本でも参院選公示日の22日に136円台を推移する展開となっている。
米連邦準備制度理事会(FRB)が15日に政策金利を0・75%引き上げたのに対し、日銀は17日の金融政策決定会合で大規模緩和策の継続を決めたことで、日米金利差が一段と拡大したからである。
各紙社説は円安進行に警戒は説くものの、妙案がないのか打つ手を示さないでいる。
社説見出しは次の通り。15日付産経「1ドル=135円台/円安に動じぬ経済構造を」、18日付読売「日米金融政策/違いが招く円安進行に警戒を」、東京「日銀の金融政策/生活の実感反映したか」、19日付朝日「日銀政策会合/円安の影響急ぎ検証を」、日経「円安の利点を生かせる日本経済に」――。
産経は、円相場が1ドル=135円台まで下落した状況を、新型コロナウイルス禍で傷んだ経済が回復しつつある中で、「最大限の警戒が必要な局面だろう」と指摘する。
警戒を要するのは分かるが、では円安の原因が分かっていて、なぜ円安を止められないのか。
「問題は、為替市場の円安基調を反転させられる即効性のある対策を見いだしにくいことだ」というのが同紙の見解である。
金融引き締めに転じた欧米と違い、コロナ禍からの回復が遅い日本は金融緩和を維持せざるを得ない。この構図が変わらなければ円安基調が続く可能性があるということで、同紙は即効性のある対策は諦め、見出しの通り、「本質的に考えるべきは、為替などに左右されにくい経済構造の構築である」と中長期的な課題に転じてしまうのである。



