[文化]
戦争体験や昭和史と重ねる 出版相次ぐ小津安二郎本
編集部 -
来年没後60年、生誕120年を迎える映画監督・小津安二郎。黒澤明、溝口健二と並び日本映画の三大巨匠と言われるが、その中でも近年の国際的評価は最も高い。海外の研究者を含め、小津に関する研究書は既に多数出ているが、その後も毎年のように関連本が出版されている。
温厚で誠実な人物像に迫る 企画展「原達―叔父・原敬に期待された才人―」
編集部 -
岩手県盛岡市の原敬記念館で企画展「原達(とおる)―叔父・原敬(たかし)に期待された才人―」が開かれている。2022年は達の没後110年に当たり、写真や手紙、俳句などの実物資料百点余を通して生涯や業績を紹介する。
登録を機に継承へ理解を 民俗芸能「風流踊」 無形文化遺産へ
編集部 -
災厄を祓(はら)い、安寧な暮らしを祈願したわが国の民俗芸能「風流踊(ふりゅうおどり)」が11月末、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産へ登録された。対象となったのは24都府県の計41件。日本3大盆踊りの「郡上踊(ぐじょうおどり)」(岐阜)や「西馬音内(にしもない)の盆踊」(秋田)など、地域の歴史や風土を反映した祈りが込められたもので、いずれも国の重要無形民俗文化財に指定されているが、その価値が国際的に認められた意義は大きい。
雪の中で行われる裸詣り 福満虚空藏菩薩の奇祭/福島県柳津町
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JR只見線の会津柳津駅で下車した。駅員のいない駅だが、広場にはSLが展示されていた。坂道を南に下って、また上り返して、福満虚空藏菩薩圓蔵寺(ふくまんこくうぞうぼさつえんぞうじ)にやってきた。創建は大同2(807)年で、徳一大師によって開かれた古刹(こさつ)だ。
爆発的太郎芸術を体感 「展覧会 岡本太郎」/東京都美術館
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「芸術は爆発だ!」の合言葉、大阪万博の「太陽の塔」などで知られる前衛芸術家、岡本太郎(1911~96)芸術の全容とその生涯を回顧する「展覧会岡本太郎」が、東京都美術館で開かれている。川崎市岡本太郎美術館、岡本太郎記念館に加え他の美術館などの所蔵品を一堂に集め、ニューヨークのグッゲンハイム美術館所蔵「露店」は約40年ぶりの里帰りとなる。
特別展「川をはさんだ2つの宿場」北上市立博物館
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岩手県北上市は交通の要衝として発展した。北上市立博物館では特別展「川をはさんだ2つの宿場~江戸時代の黒沢尻(くろさわじり)と鬼柳(おにやなぎ)~」を開いている(来年1月9日まで)。入り口の床には大きな航空写真があり俯瞰(ふかん)できる。
企画展「新春を祝う―前田土佐守家のお正月―」/金沢
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加賀藩前田家に仕えた上級武士が、お正月をどのように過ごしたか、その詳細が金沢市の前田土佐守家資料館で公開されている。開催中の企画展「新春を祝う」で、所蔵の古文書や正月の飾り物など20数点を展示し、当主ならではの慌ただしい様子を伝えている。
「鉄道と美術の150年」/東京ステーションギャラリー
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日本の鉄道開業から150年を記念して「鉄道と美術の150年」が東京駅の東京ステーションギャラリーで開かれている(2023年1月9日まで)。
郷愁を誘う秋冬の景色 コレクション展「山粧いて山眠る」
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横手市の秋田県立近代美術館で、同館の収蔵品から秋冬の景色に焦点を当てたコレクション展「山粧(よそお)いて山眠る」が開かれている。季語としての「山粧う」は紅葉で粧われた秋の山、「山眠る」は静まりかえった冬の山を意味する。収蔵品も、テーマで集めると新しい視点が展開。郷愁を誘う光景が目の前に現れる。
フランス美術事情 「太陽に向かう芸術界のスター」展
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風景画の起源は東洋の方が古く、中国の山水画は西欧の風景画より1000年以上も早いといわれている。それだけでなく、山岳に霊的・精神性を求める中国人の自然観が反映された東洋の風景画は、自然を神が人間に与えたものとするキリスト教の自然観とは大きく異なる。
モニュメントがある広々とした庭園 東京都八王子市/高尾599ミュージアム
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東京都八王子市に高尾山がある。京王高尾線を高尾山口で下りて、案内に沿って南下し、門前町に入らず、抜けたところに高尾599ミュージアム(写真)がある。599のモニュメントがあるだけの広々とした庭園がいい。
国敗れても故郷と歌あり 高野辰之が晩年を過ごした野沢温泉村
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「故郷」「朧月夜」などの文部省唱歌を作詞した国文学者、高野辰之はその晩年を生まれ故郷に近い長野県野沢温泉村の別荘で過ごし、そこで70年の生涯を閉じた。辰之は一般的には唱歌の作詞家として知られるが、国文学や演劇、歌謡の研究者として大きな業績を残した学者でもある。野沢温泉村には、辰之を記念して「おぼろ月夜の館斑山文庫」があり、その事績をしのぶことができる。
種苗メーカーから約50点の菊 秋田県 花の祭典/秋田拠点センターアルヴェ
編集部 -
菊と言えば、庭に生えている小菊や、菊人形の大輪は知られているが、切り花用の品種改良が活発にされている。秋田市の秋田拠点センターアルヴェで先日開かれた「秋田県花の祭典」では、種苗メーカーから約50点の菊が出品された(写真)。中には、秋田県オリジナル品種として2012年にデビューし東京大田市場で大人気の「NAMAHAGEダリア」そっくりの真ん丸い花もある。
ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展
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ドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン(1914~2007年)が、蒐集(しゅうしゅう)したピカソやクレーなど20世紀絵画のコレクションを中心にした「ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が東京・上野の国立西洋美術館で開かれている(来年1月22日まで)。
70年ぶり茅葺屋根全層修理 国の重要文化財「慈恩寺本堂」/山形県寒河江市
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山形県寒河江(さがえ)市にある江戸時代初期築造の国の重要文化財、本山慈恩寺本堂で10月から、70年ぶりに茅葺(かやぶき)屋根の大規模修理が始まった(令和6年11月まで)。文化財保護の専門家による建物内の調査も実施される。同寺では「まだ目に触れていない所蔵品や資料、建築工法などが見つかるかもしれない」と期待を寄せている。
チューリップの球根 皇室に献上/富山県砺波市
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富山県砺波市(となみし)では、毎年、皇室に県産チューリップの球根を献上している。今年も先月、6品種計4500個を、天皇皇后両陛下と上皇陛下御夫妻、秋篠宮殿下御夫妻はじめ宮家の方々への発送準備が整った。
フランス美術事情 抽象の巨匠スーラージュ 反射する黒を追求
編集部 -
芸術家には夭逝(ようせつ)した天才画家もいれば、生前、まったく作品が売れず、死後何年も経って世界で高額で取引されているゴッホのような画家もいる。だが、世界に功成り名を遂げ、102歳まで生きて郷里に美術館が建ち、ルーヴルで追悼式典が行われた画家はピエール・スーラージュ以外にいないかもしれない。
漢字絵など約100点展示 山内ジョージさんの文字絵が一堂に/仙台
編集部 -
宮城県出身の漫画家・イラストレーターの山内ジョージさんが長年描き続けてきたユニークな文字絵を紹介する特別展「山内ジョージ文字絵の世界」が、仙台文学館(仙台市)で展示されている。猫やゴリラなどを描き込んだ動物文字絵や、さまざまな絵柄を組み合わせた漢字絵など約100点だ。
現実主義、法治の新時代開く 東国武士の土地への執着
編集部 -
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の放送に合わせ、今年は鎌倉幕府や北条氏に関する出版が相次いだ。そんな中で、歴史小説の第一人者として活躍した永井路子の『つわものの賦』(昭和53年、文藝春秋)と、同じく司馬遼太郎『街道をゆく四十二三浦半島記』(平成8年、朝日新聞社)を読んで、改めて両作家の確かな史眼に感心させられた。



