[宗教]

弘法大師・空海の生誕1250年 「大師」号を奏請 再興図った観賢

弘法大師空海の生誕1250年の今年、生誕地とされる香川県善通寺市の総本山善通寺などで記念行事が行われている。空海は真言密教の宗祖として知られるが、教えが今に伝わるのは「大師(だいし)信仰」によるところが大きい。その大師号下賜に尽力したのが空海と同じ讃岐生まれの僧観賢(かんげん)で、地元の小学校で郷土の偉人として学習に取り入れ、成果を挙げている。

「親鸞―生涯と名宝」 生誕850年特別展 京都国立博物館

浄土真宗を開いた親鸞(1173~1262年)の生誕850年に当たる本年、浄土真宗各派寺院が所蔵する法宝物を一堂に集め、ゆかりの地、京都・東山の京都国立博物館で3月25日から5月21日まで親鸞展が開かれている。国宝11件、重要文化財75件を含む過去最大の出陳件数で、中でも親鸞の主著『顕浄土真実教行証文類』(『教行信証』)は、坂東本・西本願寺本・高田本が初めて同時展示され話題になっている。

【心をつむぐ】宗教を超える親心に感謝

宗教2世のことが取り沙汰されているが、今日の寺院や神社の後継ぎ問題も、別の面での2世問題だ。筆者の知り合いに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信仰を持ちながら、実家の寺院や神社の後を継いでいる人がいる。

約4万4千社の八幡宮の総本社 宇佐神宮

大分県宇佐市にある宇佐神宮は全国に約4万4千社ある八幡宮の総本社で、通称は宇佐八幡。古代から伊勢神宮と共に朝廷に崇敬されていた。宇佐神宮が祀(まつ)る八幡神は、新羅(しらぎ)から宇佐に渡来した氏族の神が、地元の大神(おおが)氏、辛嶋(からしま)氏、宇佐氏の氏神と合わさって成立したとされる。

京都府笠置町を歩く 山岳信仰の聖地・笠置山

京都府最南端の笠置(かさぎ)町、奈良市に接する標高300㍍未満の笠置山は全山が広葉樹に覆われ、麓には木津川が流れている。春は桜、秋は紅葉が人気の行楽地だが、古来からは山岳信仰の聖地で、山頂近くにある巨大な弥勒菩薩(みろくぼさつ)の磨崖仏(まがいぶつ)が本尊の笠置寺(かさぎでら)がある。

四国八十八ヵ所めぐり コロナ禍 減少から回復へ

コロナ禍で減少していた四国八十八カ所めぐりのお遍路さんが、少しずつ回復している。江戸時代に盛んになった庶民の四国遍路を支えてきたのが、沿道住民による「お接待」。お遍路さんに飲食物や金銭、宿を提供し、不幸にして行き倒れになると、遺体を供養し、連れの子供などを出身地に送り返したりしている。そのお接待はどのようにして始まったのだろう。

神仏習合の山 歴史刻む 岡山県児島の由加神社本宮

岡山県倉敷市児島にある厄よけ総本山・由加(ゆが)神社本宮には江戸時代、「ゆが・こんぴら両参り」で香川県琴平町の金刀比羅宮(ことひらぐう)と共に賑わった歴史がある。瀬戸内海を望む由加山は、古代から巨岩を崇拝する磐座(いわくら)信仰が盛んで、天平5(733)年に行基が十一面観音を祀(まつ)ったことから、瑜伽(ゆが)(由加)大権現と呼ばれる神仏習合の山となった。瑜伽はヨーガのことで仏教の修行の一つ、釈迦(しゃか)が悟りを得た瞑想(めいそう)である。

日本宗教の多様性を生む神仏習合

日本宗教の特徴は神道と仏教の混交、補完、協力の神仏習合にある。そのありようは時代や社寺によって異なり、それが日本宗教の多様性を生んでいるといえよう。聖徳太子が構想した仏教立国の象徴・東大寺における神仏習合の行事が同寺境内にある手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)の例大祭「転害会(てがいえ)」で、10月5日、東大寺の僧を迎え行われた。

流域に数多く立つ高地蔵 徳島県吉野川

異常気象のせいで線状降水帯によるゲリラ豪雨に襲われ、各地で洪水被害が発生するようになった。

【心をつむぐ】自由意志と愛、信仰、結婚

人生で最も大切なものは何かといえば、愛であると多くの人は答える。その基盤となるのが自由意志だ。今、世界平和家庭連合(旧統一教会)に対する報道の中で、彼らの信仰や合同結婚式を、マインドコントロールや洗脳の結果とするものがある。

猫神さん お松大権現を訪ねる

トラはネコ科なので、寅(とら)年にちなみ猫の神社に初詣しようと1月に訪れたのが、徳島県阿南市加茂町にある神社・お松大権現(阿瀬川寛司社主)。単立の宗教法人お松権現社が設けた神社で、親しみを込め「猫神さん」と呼ばれている。

梅原猛の『海人(あま)と天皇』

梅原猛の『海人(あま)と天皇』(朝日文庫)は副題に「日本とは何か」とあるように、日本という国の成り立ちを、その根本思想から問い直したもの。

わが国最古の官大寺(国立寺院)

去る4月23日から6月19日まで、奈良国立博物館で「大安寺のすべて 天平のみほとけと祈り」展が開かれた。飛鳥時代から奈良時代は日本という国の青年期で、中国・朝鮮から入ってくる仏教や学問を旺盛に学び、吸収していた。その象徴が奈良市にある大安寺(河野良文貫主)で、わが国最古の官大寺(国立寺院)だ。

【心をつむぐ】終末期医療と宗教

臨床宗教師の提唱者である岡部健医師(東北大学医学部臨床教授、1950年~2012年)の半生をつづった映画『まだ見ぬ夢に向かって』(2019年)が今、宮城県仙台市のせんだいメディアテークで上映中だ(17日まで)。

渋沢栄一と宗教 積極的に支援活動を展開

大河ドラマ「青天を衝け」で気になったのは、姉が病気になった折、生家に招かれた山伏と巫女(みこ)のうそを見抜き、退散させたシーン。合理主義者の渋沢栄一は加持祈禱(きとう)を否定したが、福沢諭吉のような宗教嫌いではない。「無宗教」を公言しながら、生家に近い神社の社殿を寄付したり、明治神宮創建の発起人になったり、一般的な宗教心は強かった。

瀬戸内国際芸術祭の女木島へ 香川県高松市

瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)は3年に1度、瀬戸内海の12の島と二つの港を舞台に開催される現代アートの祭典で、今年で5回目。4月14日からの春会期に25日、女木島(めぎじま)を訪ねた。その理由は、日本各地にある説話「桃太郎の鬼退治」の舞台の一つで、小学生の頃、高松市の親戚と一緒に海水浴に行ったことがあるから。

三輪山信仰における神仏習合 自然を神としてきた日本人

特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」が昨年は東京国立博物館で、今年は2月から3月にかけて奈良国立博物館で開かれた。聖林寺(しょうりんじ)の十一面観音立像は、明治20年に日本の文化財を調査したフェノロサがその美しさを称(たた)えたことで有名な第一級の国宝である。

ロシア正教会トップ 侵攻に沈黙 強まる批判

ロシア正教会の最高指導者、モスクワ総主教キリル1世に対する批判の声が強まってきた。ロシア軍のウクライナ侵攻が始まって以来、一言もプーチン大統領を批判していないためだ。一方、ウクライナでキエフ総主教庁に属する正教会聖職者とモスクワ総主教庁に所属する聖職者が「戦争反対」で結束する動きも出ている。

アブドル・バハ没後100周年式典に参加して

 バハイ信教はペルシャ(今のイラン)で19世紀半ば、バハオラ(1817~92)と彼の先駆者であるバブ(1819~50)によって創始された一神教。イスラム教シーア派のイランでは初期から迫害され、バハオラはイラク、トルコを経て当時のオスマン帝国のアッカ市に追放され、その近辺で一生を終えた。

独身制の廃止訴え カトリック マルクス枢機卿

 ローマ教皇フランシスコの最側近の一人、ドイツのローマ・カトリック教会ミュンヘン大司教区のラインハルト・マルクス枢機卿(すうききょう)が、聖職者の独身制廃止を訴えたことが、独教会ばかりか、世界のカトリック教会に大きな波紋を投げ掛けている。

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