オピニオン
【社説】日中外相会談 邦人救出に全力を挙げよ
林芳正外相が訪中し、秦剛国務委員兼外相と会談した。外相の訪中は約3年3カ月ぶり。昨年11月の日中首脳会談で林氏の訪中実現で一致したが、この時期となったのは「反スパイ法」違反容疑で拘束されたアステラス製薬の日本人男性社員の一刻も早い解放を求めるためだ。
時流に乗って大河「家康」にもLGBT登場させたNHKの思惑外れ
この欄では、主に時事番組を取り上げている。だが、今回俎上(そじょう)に載せるのは時代劇だ。NHK大河ドラマ「どうする家康」が時流に乗って、唐突にも登場人物にLGBT(性的少数者)を入れ込んだからだ。
【対談:日本のユーラシア戦略外交】権威主義秩序構築狙う中露
ロシアのウクライナ侵攻が長期化の様相を深める中、中国の習近平主席がロシアを訪問し、時を同じくして岸田文雄首相がウクライナを訪問した。これを機に、日本のユーラシア戦略外交はどうあるべきかを、中央アジア・コーカサス研究所所長の田中哲二氏と東洋大学名誉教授の西川佳秀氏に論じてもらった。
【社説】英TPP加入へ 高水準の自由経済圏拡大を
環太平洋連携協定(TPP)に参加する日本など11カ国は、オンライン形式で閣僚会合を開き、英国の加入を認めることで合意した。7月にニュージーランドで開かれる予定の閣僚級会合で協定に署名し、各国の手続きを経て正式加入となる。欧州主要国である英国とインド太平洋地域との経済関係が強化される意義は大きい。TPPを主導する日本は、高水準の貿易・投資ルールに基づく自由経済圏のさらなる拡大に努めるべきだ。
ウクライナ戦争の行方を鋭く分析するNW日本版の小泉・河東対談
恐らく今ウクライナに関して一番面白い対談をするのはこの2人だろう。東大先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏と、ニューズウィーク日本版のコラムニストでロシア公使、ウズベキスタン大使を務めた河東哲夫氏だ。意外にも両名は深い関係があったと同誌は紹介している。小泉氏が「まだ『軍事オタク』だった頃に見いだしたのが河東氏」で「外務省に分析員として推薦した」のだという。
【社説】グローバルサウス 安定と発展につながる支援を
岸田文雄首相は、米国などが主催する「民主主義サミット」にオンラインで参加し、アジアとアフリカ諸国に対して司法制度や選挙制度の構築などを支援していく考えを示した。中国やロシアなどの脅威が高まる中、第三極の「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国への関与を強める必要がある。
【社説】こども家庭庁 伝統的な家族の良さ見直せ
子供政策の司令塔「こども家庭庁」がきょう発足する。少子化や虐待、いじめなど複数省庁にまたがっていた重要課題に一元的に取り組む新組織の門出に期待が集まるが、これまでの現金給付のような対症療法的な発想では成果は望めまい。
【持論時論】戦狼外交から関与外交に動く中国―国際関係アナリスト 松本 利秋氏に聞く
昨年10月の共産党大会で習近平総書記の3期目続投が決まった。それ以後、中国の外交路線が変化を見せている。戦狼外交を止め中東やモスクワなど積極的に出向き、関与外交を展開するようになった。その背景と真意を国際関係アナリストの松本利秋氏に聞いた。
【社説】ミャンマー 民主化に逆行する動きは遺憾
クーデターで国軍が実権を握ったミャンマーで、民主化指導者アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が解散に追い込まれた。民主化に逆行する動きは遺憾だ。
米利上げ 他紙が「慎重」求める中、総合判断で「妥当」の日経に一日の長
米連邦準備制度理事会(FRB)が22日、中堅銀行のシリコンバレー銀行(SVB)など米銀2行の破綻をきっかけに信用不安がくすぶる中、政策金利の0・25%引き上げを決めた。
【社説】温暖化報告書 日本は気温上昇抑制に貢献を
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、最新の科学的知見をまとめた第6次統合報告書で、19世紀後半からの気温上昇を1・5度または2度に抑えるために「この10年間に急速かつ大幅な、即時の温室効果ガス排出量削減」を要請した。
【社説】ベラルーシに核 露は国外配備で緊張高めるな
ロシアのプーチン大統領が、同盟国ベラルーシに戦術核兵器を配備することでルカシェンコ政権と合意した。ウクライナ侵略を続ける中、国外への核配備で地域の緊張が一段と高まることが懸念される。
イラク戦争20年で頓珍漢な社説を展開する左派紙、矛先は日本にも
イラク戦争から20年が経った。この戦争をすっかり忘れたという人もいれば、記憶にない若者もいよう。そこで事典から引くと「2003年3月20日から5月1日まで、サダム・フセイン政権が国連による大量破壊兵器の査察に非協力的だという理由から、国連安保理の明確な決議のないまま、米国が英国と強行した戦争」(現代用語辞典『知恵蔵』朝日新聞社)とある。
【社説】文化庁京都に 省庁移転もっと大胆に進めよ
文化庁が京都市に移転し、業務を開始した。中央省庁がほぼ全面的に地方に移転するのは初めてだ。東京一極集中の是正が第一の目的だが、その必要性はより高まっている。政府は省庁移転計画を再立案し、もっと大胆に進めるべきだ。
【社説】中国の邦人拘束 繰り返される人権侵害許すな
中国・北京で今月、50代の日本人男性が「中国の国内法に違反した」として当局に拘束されたことが分かった。スパイ行為など国家安全関連の容疑とみられるが、中国側は十分な説明を行っていないという。外国人を拘束してその理由を公表しないのは、民主主義国では考えられないことだ。日本政府は中国に強く抗議し、男性の早期解放実現に全力を挙げなければならない。
中東の地政学的「ゲームチェンジャー」と成り得るサウジ・イラン合意
サウジアラビアとイランが国交の回復で合意したことが話題を呼んでいる。それだけでも事件だが、仲介したのが中国だったことが、世界を驚かせた。交渉は水面下で進められ、米国憎しの中国としては、してやったりというところだろう。
少子化の原因について日本の“線”型家族の弊を論じる山口真由氏
2022年の出生数が初めて80万人を下回り、公的機関公表の推計より10年ほど早いペースで少子化が進行中だ。SPA!3月14日号で、山口真由・信州大学特任教授は英米の家族と比較考察し、少子化の原因を探っている。題して「出産はノリと勢い?/子育ての責任が重すぎる/日本が少子化になる必然」。
【社説】WBC優勝 野球の醍醐味世界に伝えた
野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本が14年ぶり3回目の優勝を飾った。劇的サヨナラ勝ちを収めたメキシコとの準決勝、世界のトップ選手との対決を実現した米国との決勝戦など、野球の醍醐味を世界に伝えた。
陰謀論と旧統一教会叩き
「潮」の論考で、秦正樹は近年湧き上がった新たな陰謀論の例として、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る陰謀論を挙げながら、その蔓延(まんえん)を防ぐためにメディア報道の在り方に苦言を呈している。
陰謀論のメカニズム
昨年10月、『陰謀論』(中公新書)を上梓した京都府立大学准教授の秦正樹が月刊「潮」4月号に論考「『陰謀論』を信じやすい人、回避できる人」を寄せている。秦によれば、陰謀論は「『重要な出来事の裏(うら)では、一般には見えない力がうごめいている』と考える思考様式」と定義できるという。



