オピニオン
【社説】常任理事国拡大 平和を維持できる国連改革を
日本およびインド、ブラジル、ドイツ、アフリカの代表を国連安全保障理事会常任理事国に加える提案を英国のクレバリー外相が行ったことは、常任理事国入りを目指すわが国にとって歓迎されることだ。ロシアのウクライナ軍事侵攻になす術(すべ)もない安保理の状況は、国際平和を維持する国連の目的を形骸化しており、国連改革の国際世論を高めるべきだ。
【社説】防衛費財源 増税ではなく国債発行検討を
岸田文雄首相は防衛・財務の両閣僚に、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%まで増額することを指示し、5年間の防衛費総額をこれまでの1・5倍に当たる約43兆円とする方針を示した。
スペース物論説 正義の拳振る朝毎、大局観はあるが物足りない読売
12月の各紙社説はスペース物が目立った。日経の5日付「宇宙に人送る意義と効果示せ」では、米国の月探査「アルテミス計画」における宇宙ステーションに、日本人宇宙飛行士の滞在が決まったことを取り上げ、14日付「月ビジネス新時代へ民の挑戦を促せ」では、宇宙スタートアップ企業のアイスペース(東京)の月着陸船が米国で打ち上げられたことをテーマに、これまで米中の国家プロジェクトだった月面着陸を一民間企業が取り組んでいることにエールを送った。
【社説】臨時国会閉幕 国難対処へ危機感が欠如
異例ずくめの臨時国会が閉幕した。岸田文雄首相の政権運営は危険運転が続き、政権の不安定感が増している。国会全体を見ても、安全保障や少子化問題など国難対処への危機感が欠如し、憲法改正に向けた建設的な論戦もなかった。
【社説】「救済法」成立 信教の自由に暗い影落とす
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題を受けた「被害者救済新法」が成立した。行き過ぎた寄付勧誘の規制を目的とするものだが、憲法で保障された信教、内心の自由を侵しかねない法律が、拙速に成立したことは、わが国の自由と法治に暗い影を落とすものと言わざるを得ない。
国民を煽り熱狂をつくり出す新聞、テロに沈黙し甘さを露呈した歴史
「少なくとも満州事変からそれに続く上海事変、そして満州国建設のころまでは、国民的熱狂というのは、マスコミによって煽られたと言ってもいいと思いますね」(半藤一利氏)「とにかく新聞は煽りましたね。たとえば、中国側がリットン報告書を読んで驚喜したと書いて、報告書が中国側に有利な内容だったとして、それに対する国民の反発を煽ったわけです」(加藤陽子氏)
中国での抗議デモ、天安門事件再来とはならぬと分析するNW日本版
日本人のシベリア抑留を描いた映画「ラーゲリより愛を込めて」の公開に合わせてニューズウィーク日本版(12月13日号)が特集を組んでいる。瀬々敬久監督の特別寄稿や主演の二宮和也さんとの対談、主人公・山本幡男の長男・山本顕一立教大名誉教授へのインタビュー
【社説】辺野古移設 県は法廷闘争やめ協力を
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、国土交通相が県による埋め立て承認撤回を取り消す裁決をしたのは違法として、県が裁決の取り消しを求めた訴訟で、最高裁は県の上告を棄却する判決を言い渡して県の敗訴が確定した。
【社説】保育園児虐待 信頼損なった責任逃れの対応
静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で、当時の保育士3人が園児の足をつかんで宙づりにするなどの体罰を繰り返していた問題で、県警が3人を暴行容疑で逮捕した。
【社説】岸田首相答弁 信教の自由に無理解は遺憾だ
法人被害者救済新法案の審議が大詰めを迎える中、岸田文雄首相は国会答弁で宗教団体への献金を巡るトラブルに関連し「自発的に献金しているように見えても、不安に乗じて教義を教え込まれ困惑させられて献金されたものだ」と述べ、同法案の取り消し権の対象となるとの認識を示した。信仰に「マインドコントロール」と疑いをかけ、信教の自由を干犯しかねない遺憾な発言である。
【社説】米「ねじれ議会」 懸念される「内向き」姿勢
米中間選挙で連邦議会上院(定数100)の最後の1議席を決める決選投票が南部ジョージア州で行われ、与党民主党の現職が野党共和党の新人に僅差で勝利した。これを受け、上院は民主51、共和49、下院(定数435)が共和222、民主213の議席配分が確定。上院は民主党、下院は共和党が4年ぶりに多数派を握った。「ねじれ議会」となったため、今後は与党側の予算案や法案が通りにくくなることが予想される。
経産省の原発運転延長短縮案にエネルギー安保の危機感募らす産経
1日付朝日「山積する疑問に答えよ」、産経「国家の計が弱腰では困る」、2日付日経「原発建て替えで安全性高めよ」、5日付毎日「問題を先送りするだけだ」、6日付読売「長期活用へ建て替えも急げ」――。
【社説】サッカーW杯 森保ジャパンの健闘称えたい
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本は1次リーグで強豪のドイツ、スペイン両国を撃破するなど大きな活躍を見せた。惜しくも初のベスト8進出はできなかったものの、森保ジャパンの健闘を心から称(たた)えたい。
具体策なき「専守防衛」を説く左派紙、詭弁的防衛論にとどめを刺す時
仏教では「抑止」を「おくし」と読み、「仏が衆生が犯しそうな悪をあらかじめ抑える」教えをいう(『世界宗教用語大事典』)。仏様も「悪をあらかじめ抑える」ことを認めておられるわけだ。
【社説】電力カルテル 不信を招いた責任は重い
大手電力会社が顧客獲得競争を制限するカルテルを結んでいたとされる問題で、公正取引委員会が中部電力、中国電力、九州電力などに課徴金納付を命じる処分案を通知した。課徴金の総額は約1000億円で過去最高となる。
「旧統一教会問題」NHKが再放送した『群衆心理』で、世論と政治の相互作用がよくわかる
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る“被害者救済”に向けた新法案が6日審議入りするが、会期内成立は見通せない。政府・与党は政権の支持率低迷に焦り、法案を拙速に提出。一方、立憲民主党はじめ野党は、憲法違反の内容まで入れ込むことを要求している。
【社説】中国「海外警察」 実態解明し厳正に対処を
中国が日本を含む30カ国に非公式の「警察署」を置いていることに対し、欧州諸国で閉鎖を求める動きが起きている。主権侵害と人権弾圧の拠点を国内に放置することはできない。日本政府は実態を解明し厳正に対処すべきである。
「澎湖諸島有事は日本有事」 東アジア全体の戦略的要衝 次期台湾澎湖県長 陳光復氏単独インタビュー
台湾の離島・澎湖諸島は、台湾本島と中国大陸の間に位置する戦略的要衝だ。先月26日の台湾統一地方選で澎湖諸島を管轄する澎湖県長(知事に相当)に民進党候補として当選した陳光復氏(67)が世界日報の単独インタビューに応じた。陳氏は澎湖諸島が中国から台湾を守る「防衛の第一線」であると強調するとともに、同諸島が中国に侵攻されれば日本の海上交通路も脅かされることから、「澎湖有事は日本有事」だと主張した。一問一答は以下の通り。
【社説】反撃能力容認 防衛政策転換の意義大きい
自民、公明両党は、敵のミサイル発射拠点などを攻撃する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を認めることで合意した。これを受け、政府は国家安全保障戦略など3文書に保有を明記する。厳しい国際情勢に対応するとともに、国際常識にかなう防衛政策への転換に踏み切った意義は大きい。防衛力強化に慎重な公明党が反撃能力保有を容認した点も評価できる。



