
「精神疾患で休職」過去最多
立憲民主党機関紙「立憲民主」(4・21)は2、3面で党の教育政策について特集した。立民が昨年6月に取りまとめた政策「未来の学校、はじまります」は、①子供が主役の新しい学び②多様な教育機会の提供③教育費の負担軽減④先生たちの職場環境の整備―の4点を最重点政策としている。紙面ではこの中でも教育費の負担軽減と教職員の働き方改革を中心に取り上げた。
立民は教育費の負担軽減の柱に、高等教育の無償化を挙げている。ネクスト文部科学相としてインタビューを受けた菊田真紀子衆院議員は、奨学金制度の拡充を目指す政府与党の方針について「小粒で遅すぎ、とても異次元の少子化対策とは言えません」と批判。今国会で立民は、日本維新の会と共同で公立小中学校の給食費を無償化する学校給食法改正案を衆院に提出しており、具体的な取り組みとしてアピールした。
教職員の働き方改革については、時間外勤務手当の支給といった給与面の改善や、業務削減、職場環境の整備、専門家・ボランティアの充実などを挙げた。各党も動きを見せており、自民党の特命委員会は政府への提言案に、残業代の代わりに支給している月給への上乗せ分の引き上げのほか、35人学級の実現などを盛り込んだ。
教員の処遇を改善し、精神的、肉体的負担を軽減することは急務となっている。文科省は先月28日、2022年度の教員勤務実態調査の結果(速報値)を公表した。調査の実施は6年ぶりで、前回16年調査と比べると長時間勤務の割合は減ったものの、中学校教諭の36・6%が過労死認定のラインである週60時間以上働いていることが分かった。さらに文科省の調査によると、21年度に精神疾患で休職した公立小中学校の教職員は5897人で過去最多だった。
教師という職業が社会において非常に重要な役割を持つことは言うまでもない。近年、労働環境の過酷さが広く知られるようになり、教員を志したことのある大学生のうち、半数以上が後ろ向きになったり諦めたりしたという調査結果もある。待遇改善は教職員や志望者のみならず生徒、保護者にも関係することであり、給与面、制度面で思い切った改革が必要だ。速やかな議論と改善策の実施を期待したい。
(亀井 玲那)



