タイ総選挙 与党惨敗の背景など深掘りない日経、言葉足らずの東京

読者の疑問に触れず

タイ総選挙の様子=タイ・バンコク(UPI)
タイ総選挙の様子=タイ・バンコク(UPI)

だが1面コラムならまだしも、論説記事とすればもっと深堀りして欲しかった。なぜ、親軍政党は惨敗したのか? 前進党に大きな風が吹いた背景は? なぜ、前評判が高かった貢献党が伸び悩んだのか? 軍がクーデターという伝家の宝刀を抜く危惧はないのか? などなど、読者が知りたいと思うテーマは多々ある。

一方の16日付東京社説「タイ総選挙 民意は『親軍にNO』だ」で「親軍の連立与党が大敗した」とし「明確に『軍の退場』を求めた民意は尊重されなければならない」と日経同様の社説構成になった。最後の「民主的な政権こそが国家安定への道だ。軍が介入しない新政権が、平和的に樹立されるべきである」との駄目押しまで同様だ。ただ、東京は読者が抱くであろう疑問に答えようとしている点は好感が持てる。

貢献党が第2党に終わった理由として同社説は、「最低賃金の大幅アップなどを訴え、地方の貧困層を中心に優勢だったものの、選挙戦終盤で、親軍与党との連立観測が流れ、失速した」と断じ、プラユット首相の連立与党惨敗の理由として「親軍政権は、当初から人気薄だった上に、コロナ禍で経済が低迷し、王室改革を求めるデモの弾圧で、支持を失っていった」と書いた。