タイ総選挙 与党惨敗の背景など深掘りない日経、言葉足らずの東京

タイ総選挙の様子=タイ・バンコク(UPI)
タイ総選挙の様子=タイ・バンコク(UPI)

野党「前進党」が躍進

14日の日曜日に行われたタイ下院総選挙は、革新系野党「前進党」がダークホースとなり第1党へと大躍進を遂げた。まさに選挙は水もの、多くの政界すずめも予想しなかった地滑り的勝利を前進党がものにした。日本では翌日が休刊日で新聞はなく、翌々日の16日付にタイ総選挙を社説で扱ったのは日経と東京だった。

6000社を超す日系企業が進出し、7万人以上の日本人が居住するタイの政治動向は、経済界にとっても重大関心事なだけに日経が社説に取り上げたのは的を射ている。何よりタイが東南アジア諸国連合(ASEAN)の製造業集積地になっているのも、政治的安定度の高さが一要因として掲げられてきた経緯がある。その政治的安定が揺るぎかねない今回の総選挙の結果を見れば、日経としても筆を執らざるを得なかったのだろう。

その日経は16日付社説「タイは民意を映す安定政権に」で、「クーデター後に続いた国軍の政治関与に有権者がノーを突きつけ、プラユット首相らの親軍与党は惨敗した」のだから、「民意が最も支持した前進党を中心に安定政権の樹立を望みたい」と素直な直球型論説を張った。社説の最後は「『中進国のワナ』が指摘される経済への悪影響を避けるためにも政情安定を最優先すべきだ」との駄目押しだ。