G7共同声明は妥当
対話型AI「チャットGPT」など文章や画像を作る生成AIを巡っては、各紙が指摘するように、それがもたらす偽情報の拡散や個人情報の流出、著作権侵害などのリスクが懸念されている。
産経は、さらに「中国やロシアなどの専制主義国家がAI技術を悪用する事態もあり得よう」と指摘し、その点でG7が共同声明に、「民主主義の価値を損ない、表現の自由を抑圧し、人権の享受を脅かすような誤用・乱用に反対する」と明記したのは「妥当」と強調したが、その通りである。
読売は、社説横の解説「スキャナー」欄で、中国やロシアの「恣意(しい)的なデジタル空間の利用」を取り上げ、「中国では、サイトの閲覧や海外事業者のネットサービスに対して制限がかかっている」「ロシアのウクライナ侵略では、ロシア政府が、自国に優位な偽情報をSNSで発信する『認知戦』を繰り広げている」などと指摘し、「生成AIの『悪用』で、こうした懸念がさらに高まる」との危惧を記す。
読売社説では、なぜか中露のこうした現実と生成AI「悪用」懸念の記述がなく残念だったが、毎日はそうした点を、知ってか知らずか、「サイバー攻撃などの悪用を防ぐ方策も課題だ」と主張する中で、中国など価値観が異なる国などとも「議論するなど、幅広い取り組みが求められる」とするのである。
恣意的な利用を行っている当事者を、ルールを構築する議論に加えて、果たして実効性あるものができるのか。できたとしても、骨抜きにされるのがオチであろう。



