核使用時期に選択肢
エコノミスト誌は国際金融危機以外にエネルギー、人口、感染症など現在、人類が抱えている問題も取り上げる。中でもロシア・ウクライナ戦争に関しては、ロシアは自国の防衛目的を口実として核使用を示唆しているが、同誌では「核兵器は戦争終結の際の決定打となると考える人が多いが、実際には核兵器が使用されたら戦争は終わり、ではなく、戦争初期や中期に使用する選択肢も存在する」(佐藤丙午・拓殖大学教授)とし、「核兵器保有国は核兵器が使用された環境の下で如何に戦争を継続するかについて検討してきた」と説明。
その上で、これからの100年については「今後、戦争の違法化がいっそう厳格化され、核兵器を含めた軍縮の時代に向かうのか、あるいは、民主主義に代わって権威主義的政治体制が普遍化し、地政学などの論理に従った『新たな戦争の時代』に入るのか、国際社会は大きな岐路に直面している」(同)と分岐点に立つ今日の国際社会の現状を分析する。
もっとも、佐藤教授の綴る基本的人権を尊重する民主主義の体制は人類が歴史の中で戦い勝ち取ってきたもの。今回のエコノミストには登場しないが、日本に在住するウクライナの外交評論家ナザレンコ・アンドリー氏はある講演会で次のように語っていた。
民主主義を守る意識
「ウクライナは過去300年間にわたって他国の支配を受けてきた。スターリン時代何百万人の国民が餓死した。日本の皆さんには他国に支配されて国を失うことの悲惨さを知ってほしい」
岐路に立つ国際社会の中でこれから100年間日本が生き残るためには独裁的な覇権主義から国を守るためには何よりも国民一人ひとりが、民主主義と国を守る意識を持たなければならないことを佐藤教授とアンドリー氏は教えている。(湯朝 肇)



