
35年までに60%削減
先進7カ国(G7)は札幌市で気候・エネルギー・環境相会合を開き、世界の温室効果ガス排出量を「2035年までに(19年比で)60%削減することの緊急性が高まっていることを強調する」と明記した共同声明を採択。二酸化炭素(CO2)排出削減の対策を講じていない化石燃料を「段階的に廃止する」方針を盛り込んだ。
新聞では日経、読売、朝日の3紙と少なかったが、社説で論評を掲載した。ここでも国内のエネルギー政策と同様、安定供給と各国の事情を無視した理想論を説く朝日の独善性が目立った。
3紙社説の見出しは、18日付日経「エネ・環境目標は多様な手段で実現を」、23日付読売「脱炭素の推進は多様な道筋で」、25日付朝日「内向き排し対策先導を」である。朝日の内容は主に今年議長国になっている日本に対しての論評で、「議論を牽引(けんいん)する姿が見えない」と批判し、見出しのような注文を付けた。
化石燃料の段階的廃止については、対象を石炭から天然ガスにも広げたことに「一定の前進と評価できる」としつつも、「全体としては新たな具体策は乏しい」とし、「脱炭素化と安定供給の両立が求められる難局にあって、弱いメッセージにとどまったと言わざるを得ない」と批判した。
石炭火力発電や電気自動車(EV)の新車販売に占める割合に関する数値目標が、日本の反対で合意できなかったからである。
西村康稔経済産業相が今回の会合について「多様な道筋で共通のゴールをめざす合意ができた」と成果を誇ったが、「国内事情ばかりを気にかけて『守り』に終始するようでは、先導役は務まらない」と言うわけである。



