「チャットGPT」論説で煮え切らない主要紙、メルマガがリスク指摘

国家主権へのリスク

なお日刊紙同様、ほぼ毎日発行しているメルマガ「宮崎正弘の国際情勢解題」(まぐまぐ大賞2022年受賞)は17日付で、「(AIは)幻覚を起こしやすく、日常的に偏見があり、だまされて悪意のある目的を果たす可能性があり、配備に関連する複雑な倫理的課題が浮き彫りになった」として「スタンフォード大学の調査に従えば研究者の三分の一以上が、人工知能 (AI) が『核レベルの大惨事』につながる可能性があると考えており、急速に技術進歩がもたらすリスクへの懸念が表明された」ことを書いた。

日経や毎日の論説室からすれば、スタンフォード大学の調査リポートはリスクが強調され過ぎて冷静さとバランスを欠いていることになるのだろう。だが同リポートは、日経や毎日が心配する個人・企業データの拡散や民主主義への脅威という次元ではなく、国家の主権そのものが脅かされるリスクを指摘している。日本の主要紙が見ていないリスクを視野に入れている点で、それこそ「眼張り」を感じるリポートだ。

(池永達夫)