中国がぶら下げたニンジンの赤い野心が見抜けない毎日、日経

政治的妥協狙う中国

日経の4日付社説「日中関係の安定にはまず邦人の解放を」も、毎日同様ピントがぼけている。同社説では「拘束理由さえ不明なアステラス製薬社員のいち早い解放が必要だ。それがないなら、社員の安全に責任がある外資企業は、安心して中国に人員を送れない」として「今後も解決の見通しが立たなければ、経済を中心とした日中関係に多大な支障が出る」とあくまで日中の経済関係を軸にした見解を述べる。

だが中国の狙いは、そうした日本の財界を経済で引き付け、永田町に政治的妥協を迫るものだ。具体的には半導体輸出規制に代表される米国がリードする対中包囲網を破ることだ。日経社説にはそうした経済を餌に日米離間を画策する、中国の戦略的大局観が欠落している。

目の前にぶら下がっているニンジンを取ることに執着するだけで、ニンジンにある赤い野心に無頓着では「金を儲けて、亡国の憂き目に遭う」悲劇を避けることは難しい。

(池永達夫)