米利上げ 他紙が「慎重」求める中、総合判断で「妥当」の日経に一日の長

信用不安はくすぶる

FRBは2銀行の破綻に伴い新たな緊急融資枠を設け、米財務省なども預金の全額保護を決めた。08年のリーマン危機の教訓を生かした迅速な対応で、パウエル議長は「銀行システムは健全で強固」と強調していたからである。

今後のFRBの金融政策については、今回の声明で不安心理が経済活動や雇用、インフレを圧迫する可能性があり、結果的に引き締めの効果をもたらすとして、利上げ姿勢は弱まり、利上げ局面の終わりが近いことを示唆している。

とはいえ、各紙も指摘するように、一連の対応で市場はひとまず落ち着いたが、信用不安はくすぶっている。日経も「インフレが収まらず利上げが続けば、金融不安とのはざまで市場が揺れる局面も増えよう」と懸念し、FRBに対して、他紙と同様、国内外に目配りして市場と周到に対話し、物価と金融システムの安定を両立させてほしい、と指摘する。いずれも、景気後退への懸念と合わせ、FRBが難しい局面に立たされていることを示している。

(床井明男)