少子化の原因について日本の“線”型家族の弊を論じる山口真由氏

結婚生活意義教育を

なるほど、50代の子にさまざま干渉する親の行為は行き過ぎだろう。ただし成人後の息子の不祥事の背後に親の姿を見つけ、その親を大衆の前に引きずり出そうとするのは一部週刊誌の手法であって、他のメディアが引きずられているという面があると思う。

親が子育てを誇り、自らの生活を犠牲にしてでも、子供だけは立派に育て上げようとする気概は親の愛情の現れであって、戦後、大半の親が共有していた人生観だと思う。その親の営為を「家族的責任という重し」と感じ結婚に踏み込めないという若者が多く占めている、というのはなかなか考えにくい。むしろ今の親たちは、子供たちに依存しない、自分たちは自分たちの人生を楽しむ、という人たちが統計的にも増えている。定年後も働き、しかも子供に世話を受けないと主張する“元気な”お年寄りたちだ。

作家の山本肇氏は著『少子亡国論』で「(若者は)“少子化”が問題であることは知っている。しかしそれ以上のことは知らない」と嘆いている。つまり、結婚生活についての覚悟すら持っていない、それが必要ないほど飽食の時代に生を受け育ったということだ。結婚や家庭は、いつか“棚からぼた餅式”に与えられるものという感覚か。結婚、家庭生活の意義について、ちゃんと教育され、よく知る機会を持つことが重要だ。山口氏が、“点”型家族を比較対象として挙げているのは、英米では子供の自覚を促す家庭教育が、割と自然になされている、ということだろう。