長期化する露ウクライナ戦争、中国の動きを注視するエコノミスト

2022年のG20サミットの様子。2023年のG20は、日本は欠席をした。=2022年11月、インドネシア(UPI)
2022年のG20サミットの様子。2023年のG20は、日本は欠席をした。=2022年11月、インドネシア(UPI)

より危険なフェーズ

近年、インドをはじめとしたグローバルサウスに所属する国々に注目が集まっている。グローバルサウスとは元来、冷戦時における発展途上国いわゆる「第3世界」に取って代わる名称だったが、このところ国際社会において発言力を高めつつある。ロシア・ウクライナ戦争が長期化する中で、独自路線を取るグローバルサウスに対して、欧米・ロシアさらに中国が陰に陽に働き掛けを強めている。

そうした中で、週刊エコノミスト(2月28日号)が「戦争で変わる世界経済 ウクライナ侵攻1年」をテーマに特集を組んでいる。もっとも、見出しには世界経済を謳(うた)うものの、経済分析というよりも、むしろロシアによるウクライナ侵攻から1年を経た今、今後の国際政治の動向に力点が置かれている。

そこでロシア・ウクライナ戦争はいつまで続くのかという点について、同誌は有識者を登場させ分析させている。「レオパルト2供与でドイツの比重が増したNATOとの代理戦争という、より危険なフェーズに移った。戦車の次はミサイル、戦闘機と武器のレベルがエスカレートする可能性がある」(東郷和彦・元外務省東亜局長)とし、「両国の歴史から見てもロシアはウクライナに核兵器は使わないだろう。つまり、核を使わない限りでの武器のエスカレーションと長期化(は必至)だ」(同)と指摘。

また、小泉悠・東大先端科学技術研究センター専任講師は、「露軍が大攻勢をかけてもウクライナを政治的に屈服させることは難しいだろう。…今年の春夏だけで決着はつかず、再度の大規模な衝突は来年の春以降となる。(停戦までは)3年はかかるだろう」と見通している。