LGBT理解増進法 保守派の反対意見は復古主義に過ぎないと「報道1930」

反対派の議員招かず

だが、番組は「まずは理解増進法で差別のない社会をつくっていく」という稲田の理想を紹介しても、当事者の人権を大切にする市議や当事者からも法案に懸念の声が出ている現実には一切触れない。代わりに視聴者に印象付けようとしたのは、男女の性差を大切にし伝統的な家族制度を守ろうとする保守派に対する印象操作。つまり、反対するのは本当の保守でなく復古主義の右派にすぎないというのだ。それは出演者の発言を聞けば明らか。

「自民党の一部で言われる議論は男尊女卑や男性優位を良しとする人々により考えられた家父長制度的社会を守ることが伝統であり保守であると、非常に狭く定義されてしまっている」(「ニュース解説」担当の堤伸輔)。「日本の右派は復古主義的な価値観が強くて、保守とリベラルで折り合わないポイントが残っている」(毎日新聞専門編集委員・古賀攻)。

「保守」を自任する稲田は「全ての人が大切にされる国(を目指す)、それが保守だ」という。法案推進派が本当の保守なのか、それとも反対派なのか。それを論ずるなら、反対派議員もスタジオに招くべきだった。それをしなかったのは、現段階でも逆差別や内心への介入が起きている現実を提示されると、「反対派は復古主義」との印象操作ができなくなるからだったのだろう。

(敬称略)

(森田清策)