安全求める声は無視
首相秘書官(当時)によるLGBT差別発言をきっかけに、にわかに理解増進法案の今国会成立を目指す動きが活発化している。それに合わせ、BS・TBS「報道1930」(2月13日)は推進派の稲田朋美(自民党元政調会長)をスタジオに招き、同法案を巡る問題を取り上げた。時宜を得たテーマと言えるが、焦点にしたのは同党内反対派の“保守性”で、女性の安全を求める声は無視された。
法案には稲田らが中心となって野党と調整を重ねる過程で、原案になかった「差別は許されない」の文言が入った。保守派が反対するのは「差別」の概念が曖昧なことで訴訟乱発や「内心の自由」制限の恐れがあるからだ。その反対理由に正当性があることは、加賀の動画を見ても分かる。
最近でも、ゲイを公言するタレントの楽しんごも自身のインスタグラムで、全国の旅館や温泉などは会社の存続が危うくなると、抗議を呼び掛け話題となっている。トイレや銭湯などの女性スペースが、安心して使える女性の場所でなくなるという加賀の懸念と同じ理由からだ。
差別禁止法の制定や同性婚の制度化を進めた米国などの“LGBT先進国”では、トランス女性のトイレ・スパ使用や女子スポーツへの参加問題が表面化し、LGBT政策の見直しの動きも出ているのだから、日本で法案を疑問視する声が広がるのは当然だろう。



