米大統領の言いなり
なぜわが国はそんな買い物をしようとしているのか。「トマホークやステルス戦闘機F35などは、米国政府を窓口として取引するFMS(有償軍事援助)の枠組みで購入する」ため、「価格が米国の『言い値』で、自国軍向けよりずっと高く売りつけることでボロ儲けする制度になっている」というのだ。
いわば性能の満たない製品を高く買わせられ、それで額面だけが大幅に増えるという外見だ。「岸田首相はバイデン米大統領の言いなり」という批判も頷(うなず)けなくはない。これがもし米の言いなりになりつつ、「拡大抑止」や「核共有」に話を持っていこうとしていて、その“見返り”としての高額買い物だとすれば、岸田首相の外交力も安保観もずいぶんズレていると言わざるを得ない。
「米国の戦争に巻き込まれる」と同誌らしい心配をするが、必要なのは安保文書改定と防衛予算増で「抑止」が可能なのかという議論だろう。「敵のミサイルが原発に当たったらどうしよう」といたずらに不安を煽(あお)るだけでは実のある話にならない。



