朝日が問題視する「半世紀に及ぶ蜜月」は霊感商法でも献金でもない

保守VS革新の大激戦

志位和夫委員長は昨秋、『サンデー毎日』(11月6日号)でジャーナリストの田原総一朗氏と対談し、「(自民党は教団を反動の先兵として利用し)最初に牙を剥いたのは革新府政を7期28年務めた蜷川虎三京都府知事の後任を選ぶ1978年の知事選だった。保守VS革新の大激戦になり、この時に前面に立って謀略的な反共攻撃をしたのが勝共連合だった」とし、「今度は決着をつけるまでとことんやりますよ」と意気込んでいる。

当時、勝共連合は宮本顕治共産党委員長(当時)の「リンチ殺人事件」(1933年、通称「スパイ査問事件」)を取り上げ、終戦直後の「釈放」には法的根拠がないとして「網走(刑務所)に帰れ」と訴えていた。それに府民が共感したのか、同選挙では「革新の灯台の火を消すな」(不破哲三書記局長=当時)との共産党の訴えも虚しく敗北。革新自治体ブームによる「革命の好機」が霧消した。

宮本・不破の“遺伝子”を継ぐ志位委員長はその怨みを田原氏に吐露しているのだ。共産党は知事選後、「(勝共を)国民的に粉砕する」との活動方針を決議し、党員・シンパの弁護士らも動員して反教団闘争に取り組むようになった。朝日がいう「半世紀に及ぶ」とはこのことなのだろう。

信教の自由、政治活動の自由は基本的人権として認められている。半世紀前、教団や勝共連合は合法的に活動しており、違法行為はなかったはずだ。それにもかかわらず問題にするのは基本的人権を踏みにじる言説だ。どうやら朝日は馬脚を露(あら)わにしたようだ。共産党の「とことんやりますよ」を実践する紙面は、なるほど「アジびら」である。

(増 記代司)