後遺症を抑える効果
ワクチンの効果は科学的データによって見る必要がある。「五大医学誌の一つ『ランセット』に投稿された査読前論文」では「ワクチンの接種がコロナ感染による入院率を八一%低下させたことが報告されています」(公立陶生病院の武藤義和感染症内科主任部長)という。
またワクチンは「コロナ感染後の後遺症を抑える効果がある可能性も報告されている」とし、「イスラエルの論文」では「ワクチンを二回接種した人は未接種者に比べ、後遺症の代表的な症状である疲労を訴える率が六四%低かったという。頭痛は五四%、脱力感は五七%低いとされた」と同誌は書く。ワクチンは感染を完全に防ぐものではないが、罹(かか)っても軽症に抑えたり、後遺症を軽くしたりする効果はあるということだ。
そして今は、「高齢者を除けば致死率が極めて低いオミクロン株が流行している現在、基礎疾患のない健康な人は無理に打つ必要はない。ただし、基礎疾患のある人、そして高齢者は打つべきだ」と同誌はまとめている。
高齢者は接種検討を
ただし「長崎大学医学部の森内浩幸教授」は、「オミクロン株の流行により、ワクチンの感染予防効果はあまり期待できなく」なっており、「若い人にまで(略)呼びかける時期は終わった」と指摘し、「武藤主任部長」は「いま大切なのは、“コロナに感染しないこと”ではなく“コロナで悪化しないこと”」だと語る。
コロナで死なないためにも「やはり、高齢者はワクチン接種を検討する価値がありそうだ」との結論は妥当なものだ。いたずらに「危険論」を振り回すのではなく、現実的な対処を提示することこそ、読者が求めているものだ。「ワクチンは、きちんと納得した上で」「自分にとってのワクチンのメリット、デメリットを充分考えたうえで」打つことだ。そのための情報提供を週刊誌はするべきだ。
(岩崎 哲)



