遅過ぎる厚労省対応
ワクチンは既に5回目を打ち終えた人もおり、厚労省は小児への接種まで推奨している。だが「弱毒化」も進み、感染者が増えたことで“集団免疫”もできてきただろうに、厚労省の方針は一向に変わらない。ようやく感染症法に基づく分類「2類相当」を季節性インフルエンザ並みの「5類」に見直すが、あまりにも慎重過ぎた対応と言えよう。
国民は接種するしないの選択を自ら行い、じっと家庭療養してコロナを克服しようとしている。インフルエンザに対するリレンザのような特効薬の開発も一向に聞こえず、罹(かか)ればひたすら解熱を待つ程度だ。「家族全員が陽性になり、回復したので、中国人の観光団体が押し寄せても大丈夫」と変な豪語する人もいる。
同誌は継続してワクチンの“危険性”を紹介することで、反ワクチン派を沸かせているが、ではこのコロナ事態にどうしろというのかは提示していない。厚労省に“不都合”なデータを公表して判断材料を国民に明らかにせよ、と求めるのは正論だが、それだけではいたずらに国民を惑わせるだけだ。専門家たちはどうしたらいいと言っているのかをもっと紹介するべきだろう。
3年前、コロナ事態が始まったころは、「2類を5類に」、マスクのマイナス面に着目して「不必要な時にはマスクを外す」などの提案を行っていた。「屋外に出て、食べて笑って、幸せホルモン(セロトニン)を分泌して免疫力を高めよう」などと同誌らしさを発揮していた。
置き去りとなる読者
ここにきて、ファイザー社製ワクチンを狙い撃ちし“不都合”な事実を暴露し続けている。具体的なターゲットができてそれをぶっ叩(たた)き、大手メディアが「大本営発表を垂れ流し続けた」と非難するのは週刊誌としては真骨頂なのだろうが、読者を置き去りにせず、もう少し具体的な対処法を伝えてほしいものだ。
前回拙稿(12月25日付)でも言及したが、もう打ってしまった「『ワクチンが有効に作用するためにどうすべきか』という視点」が必要だと「精神科医の和田秀樹」医師の言葉を紹介していたではないか。(岩崎 哲)



