「安保3文書」閣議決定、「外交と対話」を語る毎日・東京の偽善

いつも通りの常套句

3文書のポイントとなる相手のミサイル拠点などをたたく「反撃能力」保有に関し、日経の17日社説「防衛力強化の効率的実行と説明を」は「日本が持つ現状のミサイル防衛だけでは全てを迎撃するのは難しく、保有は妥当だと考える」とした。読売は17日社説「安保3文書改定 国力を結集し防衛体制強めよ」で「反撃能力は、国際法が禁じる先制攻撃にも当たらない」とし日経同様、賛意表明した。

中でも産経は強い賛同を表明し、17日主張「安保3文書の決定 平和守る歴史的大転換だ」で、「安倍晋三政権でさえ実現できなかった防衛力の抜本的強化策を決めた点を高く評価する」とした。また反撃能力は「専守防衛違反」の批判は当たらないとした上で、「反撃力反対論は国民を守らず、侵略軍を利する謬(びゅう)論だ」と反対論を切り捨てた。

様相を異にするのが朝日、毎日、東京の3紙だ。朝日は17日社説「安保政策の大転換 『平和構築』欠く力への傾斜」で、「他国の領土に届く『敵基地攻撃能力』の保有は、専守防衛の原則を空洞化させ、防衛費の『倍増』は歯止めなき軍拡に道を開きかねない」と懸念を表明する。

毎日は17日付社説「安保戦略の閣議決定 国民的議論なき大転換だ」で、「(反撃能力は)互いの疑心暗鬼を招き、際限のない軍拡競争に陥る懸念もある」とし「意思疎通や対話を通じて緊張状態を制御し、地域の安定を模索することが不可欠だ」「衝突回避に向けた外交の重要性はこれまで以上に高まっている」といつも通りの常套(じょうとう)句を並び立てた。

また東京は17日社説「安保3文書を決定 平和国家と言えるのか」で、「敵基地攻撃能力の保有は専守防衛を形骸化させるばかりか、周辺国との軍拡競争を招き、逆に地域の緊張を高める『安全保障のジレンマ』に陥りかねない。」「平和外交や非軍事の『ソフトパワー』を軽視して国家戦略が成り立つのか」と論じた。