決別宣言で袋小路に
江戸時代、キリスト教信徒を発見するために「踏み絵」が使われた。このケースは岸田首相の決別宣言で追い詰められ、信者であることを自ら告白したとしても、自民からの立候補のために踏み絵(脱会)を強いられたのだ。一方、脱会を拒否、離党して立候補する地方議員もいるだろう。
教団内に問題があったとしても、本人は不法行為や反社会的行為を行ったわけではない。長年、地方議員として住民のために努力し実績を積み重ねてきた政治家もいる。それを自民党は「脱会しなければ離党だ」と迫る。これが民主主義国家の与党がやることか。
「一切関係を持たない」「徹底していく」との首相の指示はさらなる問題をはらむ。反町氏が思わず「離婚しろということか」と聞いたのは、夫(地方議員)は信者でなくとも妻が信者だった場合、離婚しなければ「一切関係を持たない」方針に引っ掛かるのでは、と推測したからだろう。また、党員や後援会に信者がいるのかまで調べるのか。それこそ江戸時代の宗門改めだ。
党内でも、議員が秘書の信仰を聞き、それで解雇するのは憲法違反になるから、「関係を断つのは不可能」という声は当初からあった。“聞く耳”を持つはずの首相がその声を無視し決別宣言したことで、自民党は袋小路に入ったのである。



