平和あっての暮らし
さらに防衛力増強に伴う新たな財源について同社説は「物価や光熱費が高騰する一方で賃金は上がらず、社会保障負担も増え続ける状況で、いくら防衛のためとはいえ多くの国民が増税に納得するとは思えない。国民を守るための防衛費負担が暮らしを圧迫することになれば本末転倒だ」と書いている。
「安全保障は経済に勝る」というのは古今東西、政治の鉄則だ。平和あっての経済であり、人々の生活だからだ。
それを「防衛費が暮らしを圧迫すれば本末転倒だ」というのは倒錯した論理であり、それこそが本末転倒というものだ。暮らしは大事だが必ずしも一番ではなく、暮らしを犠牲にしてでも守るべきものがある。
ロシアの侵略で発電インフラが破壊され、多くのウクライナ国民が凍(い)てつく冬に寒く暗い日々を強いられているばかりか、凍土の墓に葬られている現状から東京は何の教訓も得ていないのだろうかと首をかしげたくなる。
(池永達夫)



