GDPマイナス、各紙「賃上げを」の大合唱で景気下支えできるのか

安易な増税論を戒め

東京は、個人消費が低迷している中、政府・与党内で防衛費増額の財源として所得、法人の2税の増税論が出ていることに、「今、増税を実行すれば経済成長のマイナス幅は一気に拡大し不況に突入するだろう。企業は賃上げどころではなくなり、一部の富裕層を除き生活も大打撃を受ける」として、暮らしの現実を無視した安易な増税論を強く戒める。これは、一理ある。

ただ、政府の総合経済対策に対しては、補助金拠出による電気・ガス料金抑制が中心だが、「これまで通りのばらまき型の対策では一過性の効果しか期待できないのではないか」として、「消費を回復させ経済を成長軌道に乗せるには大幅な賃上げの実現が避けられない」と指摘する。

産経同様、企業がため込んだ内部留保を賃上げの原資に向かわせるような、来年度の税制改正を求める。結びは「政府、経済界、労働界が足並みをそろえて賃上げに向かうべき時である」となり、これまた、緊急的な対策を求める論調ではないのである。

読売、日経も結局は賃上げ論である。読売は、「利益の蓄積である企業の内部留保は、今年3月末に500兆円を超えた」「家計にも2000兆円超の個人金融資産が滞留している」として、これらのお金が投資や消費に回るよう促す施策が必要だと強調。

また、現実に内部留保や貯蓄が積み上がる理由を詳しく分析し、その上で、実効性ある施策を講じてもらいたいと指摘する。日経は、資源高などを背景に貿易を通じて海外への所得流出が拡大しており、これが国内の購買力を引き下げ、内需を下押しする懸念もあるとして、「今後の内需を支えるカギはやはり賃上げだ」と説くのである。

物価高対策に重点を

本紙は、経済対策は消費の下支えには不十分として物価高対策に重点配分した組み替えを求めたが、各紙は結局は賃上げの大合唱である。食品をはじめ値上げがやまない現状に、賃上げを唱えるだけで力強さが欠けてきている消費を下支えできるのであろうか。

(床井明男)