左派メディアに迎合する首相の姿勢を浮き彫りにした各紙「教団」特集

前のめり浮き彫りに

読売は12日付特集「基礎からわかる『宗教法人と解散命令』」で「政府が把握する22件の判決」(1994年以降、上級審などで確定・和解)を年表付きで解説している。それによると、22件は90年前後から2000年代前半が中心で、大半の判決で認定されたのは教団の「使用者責任」。コンプライアンス宣言後に信者らの不法行為を認定した判決は3件。このうち2件は「教団の組織的不法行為」が認定されている(ただし不法行為の時期は09年以前)。

文化庁に現在の名称変更を認証された15年以降は1件(不法行為13~15年)のみで、記事は「これが教団の体質改善を示す事情と見なされれば、解散命令の判断に影響する可能性がある」としている。

読売は「刑法への抵触」も探っている。政府が9月に設けた合同電話相談窓口への相談を含めて教団に関する警察への相談は9月中に37都道府県警で計215件。記事には次のようにある。

「警察幹部によると、相談の多くは『献金をやめてくれない』など親族からのものだった。だが、信者が自分の意思で行った献金について、家族の証言に基づいて『強制された』などと立証するのは難しい」「『高額なつぼを買わされた』などとする本人からの相談もあったが、10年以上前で領収書も残っていないなど、立件は困難とみられる」

また「岸田首相は10月18日の衆院予算委員会で『刑法をはじめとする様々な規範に抵触する可能性がある』と答弁しているが、警察幹部は『事件化のハードルは高い』と話す」とあり、首相の前のめりを浮き彫りにしている。

新法に「拙速」戒めも

毎日12日付は消費者庁の有識者検討会のメンバーだった菅野志桜里弁護士と国民生活センター前理事長の松本恒雄一橋大名誉教授に「救済新法」の考えを聞いている。記事には「スピード決着を求めるのかと思いきや、2人の目には政府や与野党間で繰り広げる議論が『拙速』に映るようだ」とある。

どうやら毎日は「スピード決着」を期待したようだが、「宗教団体のみならず、NPOなど寄付を募る団体も対象になりかねない」(菅野氏)など問題山積で、逆に「拙速」と戒められた格好だ。

教団騒ぎはやはり「大山鳴動して鼠一匹」の域を超えない。左派メディアに迎合する岸田首相の姿勢は危うい。

(増 記代司)