主目的は物価高対策
各紙が特に批判するのは、来年9月までとする軽減策が、本当にその期間で終わるのかという点。今年1月から実施されているガソリン向け補助金が、当初は3月末が期限とされていたが、何度も延長されているからである。
電気・ガスでも総額6兆円という巨額の支出が想定されている。読売は「厳しい財政事情の中、国債発行という借金頼みの補助金政策は持続可能とは言えまい」とし、日経は「支援策はエネルギーの消費増を促し、輸入資金を調達するための円売り圧力になる。脱炭素や省エネという国の方針に逆行しないよう、来年9月に支援幅を縮小する方針というが、実行は疑わしい」とまで言う。
ただ、期限についてはその期間までに物価高が収まるか、つまり、ウクライナ危機や円相場を左右する日米間の金利差、景気動向などの状況次第である。東京は「効果もやめ時も不透明なら政策としての体をなさない」と批判するが、無理な注文であろう。また、対策の一番の趣旨は当面の物価高対策であるから、何年も続けるものでもない。読売の補助金頼みや日経の脱炭素、省エネ逆行の懸念は一時的なもので杞憂(きゆう)に過ぎよう。
消費の前途こそ心配
問題は、産経が指摘するように、「総じてばらまき色が濃い」ことである。「真に支援すべき対象をもっと見極め、そこに十分な手当てをした方が効果的だったのではないか」(産経)である。本紙は「物価高対策にもっと厚みと工夫が欲しい」とした。
9月に決まった電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援の5万円給付は住民税非課税世帯が対象で、「同世帯以外でも年間2万品目を超える食料品の値上げで家計に打撃を受けているにもかかわらず対象外となっているからである」(本紙)。実質賃金が物価高で6カ月連続マイナスの状況では消費の前途こそ危うい。
(床井明男)



