「日本企業は蓄積してきた技術のビジネス化で勝機あり」と週刊現代

オンリーワンの技術

ピックアップされているのはやはり知られた企業が多いが、その技術内容を総体的に見ると、必ずしも最新技術でないところが興味深い。記事も「日本企業には、これまで蓄積してきた技術が根付いています。これを再びビジネス化することで、勝てる要素は十分にあります」と。技術の高さ、その活かし方に特徴があり、オンリーワンの技術が重宝されている。

日本には伝統的に、人間は自然と対抗するものではないという考え方がある。日本人は、いかにして自然に入り込み、そこから自然の恵みを得るかを模索し、技術は人間と自然の共生を促すためのものだった(ちなみにヨーロッパでは、生活の場を広げるために森を伐採し自然を征服することに目を向けた)。そういった日本人の感性を活かし、地球、宇宙次元にまで視野を広げた技術開発をする企業が今日も成功していると見てとることができる。

温度差で熱する技術

これは食品分野における技術開発も同様。同誌に「社長めし」という連載欄があり、企業トップの食事談義を載せている。8日号はマヨネーズなどを扱うキユーピー社長の髙宮満氏。社員食堂で職員らと昼食をし、おかずの一つに半熟卵を添えている。

「卵は白身と黄身で固まる温度が違うので、実は半熟卵を作るのは難しい。とても繊細に作られているんです。私たちは卵を扱う量が多いだけに、加工技術についても研究を推し進めています」と話す。食品の内部と外部で温度を違えて熱したり膨張させたりする技術は、実は半熟卵以外にも応用例が広いという。これもさらにビジネス化のチャンスがありそうだ。

(片上晴彦)